「事務業務を効率化して業務負担を軽減させたい」
このように感じている事務職員もいるのではないでしょうか。
今回は、事務業務の効率化を実現するための具体的なアイデアを解説します。
個人レベルと組織レベル、それぞれで実践できるものを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
事務業務の効率化に必要な3つの準備
事務業務を効率化するためにしておきたい準備を以下で3つ解説します。
1.業務の棚卸しと見える化をする
まずは、自分やチームが日々行っている業務をすべてリストアップする「業務の棚卸し」をしましょう。
何にどれくらいの時間を使っているのかを客観的に把握しない限り、どこを改善すべきか判断できません。
これら3つの項目を書き出してみましょう。
そして、「電話対応:1日合計60分」「レセプト入力:月20時間」のように具体的に記録します。
この作業によって、これまで意識していなかった無駄な時間や、負担の大きい業務が明確になります。
2.ECRS(イクルス)の原則を使う
業務を棚卸ししたら、次はそれらを4つの視点で見直していきます。
このフレームワークはECRS(イクルス)と呼ばれ、改善の優先順位を考えるうえで有効です。
ECRSとは、以下の4つの単語の頭文字をとったものです。
- Eliminate(排除):その業務をやめられないか?
 
- Combine(結合):複数の業務を一緒にできないか?
 
- Rearrange(交換):手順や担当者を入れ替えられないか?
 
- Simplify(簡素化):もっと単純にできないか?
 
  
重要なのは、「E→C→R→S」の順番で検討することです。
不要な業務を簡素化しても意味がありません。
まずは「やめること」から考えるのが、最も効果的なのです。
3.5分で終わる作業から着手する
改善すべき業務が見えてきたら、優先順位を付けて実行に移します。
しかし、すべての課題を一度に解決しようとすると挫折の原因になりますので、「効果の大きさ」と「実行のしやすさ」の2つの軸で考えましょう。
優先すべきは、「効果が大きく、すぐに実行できる」業務です。
たとえば、ファイルの命名規則を統一するといったルール作りは、今日からでも始められて効果も大きい施策です。
まずは5分で終わるくらいの小さな改善から成功体験を積み重ね、モチベーションを維持しながら進めていきましょう。
個人で完結!PCスキルを上げる7つのテクニック
業務効率化の準備ができたら、個人で行える対策にも取り掛かりましょう。
少し意識するだけで事務作業のスピードが劇的に向上する、7つのPCスキルを紹介します。
1.ショートカットキーを使う
マウスとキーボードの間で手を何度も行き来させる動作は、時間のロスにつながります。
ショートカットキーを覚えることで、無駄な動きを大幅に削減できます。
- 「Ctrl+C(コピー)」
 
- 「Ctrl+V(貼り付け)」
 
- 「Ctrl+Z(元に戻す)」
 
  
まずはこれら3つだけでも徹底して使いましょう。
慣れてきたら、「Ctrl+S(保存)」や「Windowsキー+D(デスクトップの表示)」など、自分がよく行う操作のショートカットキーを少しずつ覚えていくのがおすすめです。
意識的に使うことで、自然と指が覚えていきます。
2.よく使う言葉は単語登録する
「お世話になっております」といった定型句や自社の住所、事業所名など、頻繁に入力する定型文はないでしょうか。
これらを「単語登録」機能に登録すれば、入力の手間を大幅に省けます。
たとえば、「おせわ」と入力するだけで「お世話になっております。〇〇訪問看護ステーションの△△です」と変換されるように設定できます。
- 「めあど」で自分のメールアドレス
 
- 「じゅうしょ」で会社の住所を登録
 
  
こういったものも便利です。
ほんの数秒の短縮ですが、一日、一ヶ月と積み重なると、大きな時間の節約につながるでしょう。
3.ファイル・フォルダ名のつけ方に規則性をもたせる
ファイルを探す時間は、業務において最も生産性のない時間の一つです。
誰が見ても中身がわかるような、統一された命名規則を定めましょう。
おすすめは「日付_案件名_作成者.xlsx」のように、ルールを決めて運用することです。
日付を「YYYYMMDD」形式にすることで、ファイルが時系列に自動で並び、探したいファイルがすぐに見つかります。
このルールを個人で実践するだけでも効果はありますが、チーム全体で徹底すれば、情報の共有が飛躍的にスムーズになります。
4.ToDoリストを作る
「あれもこれもやらなきゃ」と頭の中だけでタスクを管理していると、常に何かに追われている感覚になり、集中力が散漫になります。
やるべきことをすべて書き出して「見える化」することで、頭の中が整理され、目の前の作業に集中できるようになります。
手帳や付箋でも構いませんし、スマートフォンのメモアプリでも簡単に管理できます。
タスクを完了するたびにリストから消していくと達成感にもつながり、仕事のモチベーションを維持するうえでも効果的です。
5.集中力を最大化するポモドーロ・テクニック
人間の集中力は、長時間持続するものではありません。
適度な休憩を挟んだ方が、結果的に生産性は高まります。
ポモドーロ・テクニックとは、「25分の作業+5分の休憩」を1セットとして繰り返す時間管理術です。
このメリットは、時間を区切ることで「25分だけは集中しよう」という意識が働き、作業への没入感が高まる点にあります。
タイマーを使って時間を測ることで、だらだら作業を防げます。
特に、集中力が必要な書類作成やデータ入力などの業務で効果を発揮するでしょう。
組織で行うべき5つの効率化
個人の努力だけでは、業務効率化には限界があるでしょう。
チーム、ひいては組織全体で仕組みを変えていくことで、より大きな効果が生まれます。
ここでは、組織として取り組むべき5つの効率化施策を紹介します。
1.チャットツールを導入する
社内での簡単な連絡や相談に、わざわざ「お疲れ様です。〇〇です」から始まるメールを使っていないでしょうか。
SlackやChatworkといったビジネスチャットツールを導入すれば、用件のみをスピーディに伝えられます。
メールのように形式ばった挨拶が不要なため、コミュニケーションの心理的ハードルが下がり、報連相が活性化する効果も期待できます。
また、話題ごとにチャンネルを分ければ、後から情報を探しやすくなります。
社内連絡をチャットに移行するだけで、メールの処理にかかる時間を劇的に削減できるでしょう。
2.マニュアルを作成する
業務が属人化する最大の原因は、作業手順が個人の頭の中にしかないことです。
これを解消するのがマニュアルの作成です。
新人でもベテランと同じ品質で作業ができるように、業務手順を文書化し、誰でもアクセスできる場所に保管しましょう。
3.クラウドストレージでペーパーレス化を図る
書類を紙で保管していると、保管スペースが必要になるだけでなく、必要な書類を探すのに多大な時間がかかります。
GoogleDriveやDropboxなどのクラウドストレージを導入し、書類をデータで一元管理してペーパーレス化を推進しましょう。
データ化すれば、キーワード検索で目的の書類を瞬時に見つけ出すことができます。
また、外出先のスタッフもスマートフォンやタブレットから必要な情報にアクセスできるため、情報共有のスピードが格段に向上します。
まとめ
今回は、事務業務の効率化を進めるための具体的なアイデアを紹介しました。
業務効率化は、何か一つの魔法のようなツールを導入すれば達成できるものではありません。
大切なのは、日々の業務の中に潜む小さな無駄に気づき、それを一つひとつ改善していく地道な活動の積み重ねです。
まずはこの記事で紹介したアイデアの中から、「これなら明日からできそう」と思えるものを一つだけ選んで、ぜひ実践してみてください。