- 「訪問看護のスケジュール管理を無料で行う方法はある?」
- 「導入や運用に向けて注意することも知りたい」
このような悩みにお答えします。
訪問看護ステーションの事務職員にとって、スケジュール管理は毎日の業務に欠かせない重要な作業です。
しかし、開業したばかりの小規模ステーションや予算に余裕のない事業所では、スケジュール管理のために高額なシステムを導入することは現実的ではありません。
できるだけコストを抑えたいと思う方が大半でしょう。
そこで本記事では、訪問看護ステーションで行うスケジュール管理について、無料でできる方法と導入や運用時に気をつけるべきポイントを解説します。
限られた予算の中でも効率的にスケジュールを管理できるように、参考にしてください。
目次
訪問看護のスケジュール管理に無料が求められる理由
開業初期や小規模なステーションでは、看護師の人件費や備品購入費など、さまざまな経費が必要になるため、ITシステムにかける予算を極力抑えたいというのが本音です。
特にまだ利用者数が少ない段階では、月額数万円の専用システムを導入することは経営上大きな負担となります。
また、管理者の多くは看護師出身であり、ITシステムに対する知識や経験が限られているため、「いきなり高額なシステムを導入して失敗するリスク」を避けたいと考えています。
「まずは無料で試してから、必要に応じて有料版に移行する」という段階的な導入が、現場のリアルなニーズに合致しているのです。
さらに、スタッフ数が少ないステーションでは、複雑なシステムよりもシンプルで直感的に使える方法の方が、実際の業務に適している場合も多いといえます。
無料で使える訪問看護のスケジュール管理方法3選
無料でスケジュール管理を始める方法を以下で3つ紹介します。
- エクセル(またはGoogleスプレッドシート)
- ホワイトボード管理
- 無料ツール・アプリの活用
順番にみていきましょう。
エクセル(またはGoogleスプレッドシート)
エクセルやGoogleスプレッドシートは、身近で使いやすいツールです。
多くの事務職員が日常的に使っているため、新たに操作方法を覚える必要がなく、すぐに導入できる点が大きなメリットです。
特に、自分のステーションに合わせて表の項目や色分けを自由にカスタマイズできるため、使い勝手の良いスケジュール表を作成できます。
ただし、スマートフォンでの操作性はやや劣るため、外出先での確認には不向きな場合もあります。
エクセルを使ったスケジュール管理の詳しい方法やメリット・デメリットについては「訪問看護のスケジュール管理をエクセルで!メリデメやポイントを解説!」を参考にしてください。
ビジケア訪問看護事務マガジン
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ホワイトボード管理
ホワイトボードを使ったスケジュール管理は、視認性の高さが最大の特徴です。
事務所内の壁に設置することで、スタッフ全員が一目でその日の訪問予定を確認でき、急な変更があっても即座に修正できます。
特に小規模ステーションでは、シンプルで効果的な管理方法として採用されやすいと考えられます。
色分けされたマグネットや付箋を使うことで、利用者さんの状態や訪問時間の長さを視覚的に表現することも可能です。
また、停電やシステムトラブルの影響を受けないため、常に安定してスケジュール管理ができる点も見逃せません。
ただし、外出先からの確認はできないため、スマートフォンでの情報共有が必要な場合は他の方法と併用することをおすすめします。
ホワイトボードを使用したスケジュール管理について詳しく知りたい方は「訪問看護のスケジュールをホワイトボードで管理するメリット・デメリットを解説!」もご覧ください。
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無料ツール・アプリの活用
LINE WORKSやTimeTreeなどの無料アプリは、スマートフォンでの操作性に優れており、外出先でも簡単にスケジュール確認や変更ができます。
特にLINE WORKSは、多くの人が慣れ親しんでいるLINEと似た操作感のため、ITに不慣れなスタッフでも抵抗なく使い始めることができるでしょう。
TimeTreeは複数人でのスケジュール共有に特化したアプリで、訪問予定の追加や変更を複数のスタッフが同時に行えます。
ただし、無料版では利用人数や機能に制限がある場合が多く、個人情報の取り扱いについても十分な注意が必要です。
導入前には、利用規約やプライバシーポリシーをしっかりと確認し、訪問看護の業務に適しているかを慎重に判断しましょう。
無料ツールの導入・運用で注意すべきポイント
無料ツールを効果的に運用するためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- セキュリティ管理を意識する
- チーム内で使い方ルールを統一する
- 将来的な有料化リスクや機能制限を確認しておく
セキュリティ管理を意識する
訪問看護では利用者さんの個人情報や医療情報を扱うため、情報セキュリティの管理は最優先事項です。
無料ツールを使用する際は、利用者さんのフルネームや住所、病状などの機密情報を直接入力することは避け、イニシャルや番号で管理するようにしましょう。
特に、クラウド型のサービスを利用する場合は、データがどこのサーバーに保存されるのか、セキュリティ対策はどの程度なされているのかを事前に確認することが重要です。
パスワードは定期的に変更し、複数のスタッフが同じアカウントを共有しないよう、個人ごとにアカウントを作成することも大切です。
また、スマートフォンにアプリをインストールする場合は、端末の紛失や盗難に備えて、リモートロックやデータ消去機能を設定しておくことをおすすめします。
万が一、情報漏洩が発生した場合の対応手順も、事前に全スタッフで共有しておく必要があります。
チーム内で使い方ルールを統一する
無料ツールは自由度が高い反面、スタッフごとに使い方が異なってしまうリスクがあります。
たとえば、スケジュール入力時の表記方法が統一されていないと、「9:00」と入力する人と「9時」と入力する人が混在し、情報の読み取りに時間がかかってしまいます。
そのため、導入初期の段階で入力方法や色分けルール、略語の使い方などを明文化したマニュアルを作成しましょう。
特に緊急時の対応方法や、スケジュール変更時の連絡手順については、全スタッフが同じ行動をとれるように、詳細に決めておくことが重要です。
また、定期的に使用状況を確認し、ルールが守られていない場合はその都度修正や再教育を行いましょう。
将来的な有料化リスクや機能制限を確認しておく
多くの無料ツールは、基本機能は無料で提供されているものの、高度な機能を使用するには有料プランへの移行が必要になる場合があります。
導入前に現在の無料プランでどこまでの機能が使えるのか、どのような条件で有料化されるのかを必ず確認しましょう。
たとえば、「5名まで無料、6名以上は月額料金が発生」や「データ保存期間が3ヶ月まで」といった制限がある場合、将来的にスタッフが増えたときに予想外の費用が発生する可能性があります。
また、サービス提供会社の経営状況によっては、突然サービスが終了するリスクもあります。
そのため、重要なデータは定期的にバックアップをとり、他の方法でも管理できるよう準備しておきましょう。
無料ツールを最大限活用するためのコツ
無料ツールの効果を最大化するためには、以下の3つの方法が効果的です。
- 初期運用時に「現場で使えるか」検証する
- テンプレート・フォーマットを事前に整備する
- 将来的な有料化も視野に入れておく
それぞれ解説します。
初期運用時に「現場で使えるか」検証する
どんなに優れた機能をもつツールでも、実際の現場で使いにくければ意味がありません。
導入を決める前に、必ず1週間程度の試用期間を設けて、実際の業務で使用してみることが重要です。
特に、ITに不慣れなスタッフでも「誰でも」「すぐに」使えるかどうかを重点的に確認しましょう。
操作が複雑すぎると、結局使われなくなってしまい、従来の紙ベースの管理に戻ってしまう可能性があります。
スタッフ全員からフィードバックを収集し、使い勝手の改善点や追加で必要な機能があれば、その時点で別のツールに変更することも視野に入れておきましょう。
テンプレート・フォーマットを事前に整備する
無料ツールを効果的に活用するためには、事前にテンプレートやフォーマットを整備しておくことが重要です。
統一されたフォーマットがあることで、どのスタッフが入力しても見やすく、情報の抜け漏れを防ぐことができます。
たとえば、「利用者番号・訪問時間・担当者」といった項目順序を決めておくことで、スケジュール表を見るだけで必要な情報が一目で分かります。
色分けルールも事前に決めておき、「赤色は緊急訪問」「青色は定期訪問」といった視覚的に区別しておくことで、情報が共有しやすくなります。
これらのテンプレートはより使いやすい物に発展できるように、定期的にスタッフの意見を反映させながら継続的に改良してきましょう。
将来的な有料化も視野に入れておく
「無料で始めて、安定運用を確認してから徐々に高機能なシステムに移行する」という段階的な導入方法も検討しましょう。
無料ツールで基本的な運用方法を習得し、スタッフ全員がスケジュール管理の重要性を理解できれば、その後の有料システム導入もスムーズに進むはずです。
将来的な投資も視野に入れながら、まずは無料ツールで確実に使用できることを確認するのが賢い進め方といえます。
まとめ
訪問看護ステーションのスケジュール管理を無料で行うには、エクセル、ホワイトボード、アプリなど豊富に方法があります。
重要なのはどの方法を選ぶかではなく、ステーションの規模や働き方に最も適した方法を見つけることです。
無料であっても、情報セキュリティの管理や使いやすさ、スタッフ間での情報共有の質を妥協してはいけません。
まずは小さく始め、現場での使い勝手を確認しながら有料プランを検討してもよいでしょう。
この記事で紹介した方法を参考に、無料でできるスケジュール管理のシステムを見つけてみてください。