- レセプト返戻再請求って何?
- レセプト請求から再請求の流れを知りたい
このような悩みにお答えします。
レセプトは正しく行わなければ審査支払機関での審査をされた後、返戻として請求が差し戻される場合があります。
再請求とは、返戻されたレセプトの内容を見直し、再び審査支払機関に請求することです。
本記事では、レセプトが返戻となった場合の再請求が必要な理由や、再請求の流れを解説します。
目次
レセプト返戻再請求とは?
レセプト返戻の再請求とは、訪問看護ステーションが提出したレセプトに問題があり返戻となった後に、修正や必要な資料の追加をしたうえで再び請求することです。
再請求の手続きは、訪問看護ステーションの収益に直結するため、大変重要な業務といえます。
まずはレセプト返戻の再請求について、以下の3点を見ていきましょう。
- レセプト返戻時の再請求が必要な理由
- 再請求の期限
- 再請求しない場合の影響
順番に解説します。
レセプト返戻時の再請求が必要な理由
レセプトが返戻になった場合、すぐに再請求しましょう。
事業所の収益を維持し、経営の安定に欠かせないからです。
訪問看護ステーションは比較的小規模な事業所が多く、日々のキャッシュフローが経営を左右します。
訪問看護は人件費比率が高いサービスであるため、再請求が遅れると資金繰りに影響を及ぼし、最悪の場合はスタッフへの給与の支払いにも支障をきたす可能性があります。
提供したサービスに見合う報酬を得るのが当然ですので、返戻になった分は必ず再請求し、しっかりと報酬を得ましょう。
再請求の期限
返戻されたレセプトの再請求期限は、サービス提供月から5年間です。
猶予は長いものの、先述したようにキャッシュフローを考慮して早めに再請求しておくのが無難です。
また、時間が経つほど当時の状況を思い出すのが難しくなって修正も大変になるという理由もあります。
再請求しない場合の影響
レセプト返戻を再請求しないと、業務面にさまざまな悪影響を及ぼします。
繰り返しになりますが、スタッフの給与が支払えなくなるリスクがあるため、再請求をしない選択肢は絶対に避けたいものです。
また、事業運営に必要な設備投資もしにくくなるという点も影響としては大きいでしょう。
収益が下がると、当然ながら支出を抑えなければ経営が成り立ちません。
- 物品の購入や設備の導入を減らす
- スタッフ教育における研修費用を削減する
上記のような対策をとらざるを得なくなり、結果的にサービスの質が低下してしまうのです。
レセプト請求から再請求までの流れ
レセプト請求から再請求までの流れは、次のとおりです。
- レセプトを送る
- レセプト情報を審査する
- レセプトが返戻される
- 返戻されたレセプトを再請求する
一連の流れを理解しておけば返戻に慌てることなく、再請求もスムーズにできます。
では、順番に見ていきましょう。
1.レセプトを送る
訪問看護ステーションは、毎月10日までに前月分のサービス提供に関するレセプトを審査支払機関に提出します。
送付前には、特に以下のポイントを重点的にチェックしましょう。
- 加算や減算の算定要件
- 適用となる保険種別
- 負担割合証や保険証情報
- 記録と請求内容の整合性
これらについて、チェックリストの活用や複数人でのチェック体制を整備しておくとミスを最小限に減らせます。
また、もし返戻になったときにも確認がしやすいため、レセプトを送った後は送信記録を残しておきましょう。
2.レセプト情報を審査する
提出されたレセプトは、国民健康保険団体連合会(国保連)や社会保険診療報酬支払基金となどの審査支払機関によって審査されます。
審査では主に、レセプトの記載内容と算定要件の整合性、重複請求の有無、適用される保険制度との整合性などがチェックされます。
審査の結果に問題がなければレセプトは承認され、送信した月の翌月20日過ぎ頃に報酬が支払われます。
一方、問題があると判断された場合は、その内容によって「返戻」または「査定」という処理がなされます。
ここで重要なのは、返戻と査定の違いを理解しておくことです。
返戻は修正して再請求できますが、査定は減額が確定し再請求はできません。
査定となった場合は、その理由を明確に把握し、次回以降の請求に活かすことが大切です。
診療報酬改定だけでなく、解釈や運用の変更も頻繁に行われるので、関連する研修や情報収集に積極的に取り組みましょう。
3.レセプトが返戻される
審査の結果、何らかの問題が見つかった場合、レセプトは「返戻」としてステーションに差し戻されます。
医療保険では、返戻がある場合は毎月5日からそのデータをダウンロードでき、介護保険では月初に国保連からデータが届きます。
返戻データを手に入れたら、まずはその内容を正確に理解しましょう。
一般的な返戻理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 保険証の有効期限切れ
- 患者情報や保険情報の記載ミス
- 要件を満たしていない請求
- 重複請求
- 診療内容と病名の不一致
不明点がある場合は、審査支払機関に問い合わせて確認することも大切です。
そして、返戻された案件ごとに修正すべき内容を整理し、再請求の準備を進めていきます。
4.返戻されたレセプトを再請求する
返戻理由に応じて適切に修正したら、再請求をします。
再請求は、レセプトデータをレセコンに登録し、オンラインで行います。
再請求後には頻繁に返戻される案件について、繰り返し問題が発生する理由を分析し、業務プロセスの見直しにつなげることが大切です。
まとめ
レセプト返戻は訪問看護ステーションの収益に直結する重要な問題であり、適切な対応が求められます。
返戻されたレセプトは必ず期限内に再請求することで、提供したサービスの対価を回収できます。
再請求しないとサービスの対価が得られないだけでなく、同じミスを繰り返す可能性が高まり、結果的に経営に悪影響を及ぼすかもしれません。
レセプト請求は、誤りなく確実に行うことが大切です。
しかし、どのように注意していてもミスはあり、返戻になる可能性はあります。
そのような場合でも、返戻の理由を明らかにし、確実に再請求ができるようにしていきましょう。