- 「訪問看護におけるケアマネジャーとの連携とは?」
- 「事務職員が円滑に連携をとるコツを知りたい」
このような悩みにお答えします。
訪問看護の業務において、ケアマネジャーとの連携は欠かせません。
事務職員は日々の電話対応や書類のやりとりを通じて、ケアマネジャーと密接に情報を交換する立場にあります。
「ケアマネジャーへの対応は看護師が主に行うもの」と思われがちですが、実際には事務職員もさまざまな場面でケアマネジャーとの連携をとっているのです。
そこで本記事では、訪問看護におけるケアマネジャーとの連携について、事務職員が把握しておくべき業務内容や、連携のコツを解説します。
目次
訪問看護とケアマネジャーの連携とは
訪問看護サービスは、医師の指示書に基づいて看護師が利用者の自宅を訪問してケアを提供する仕組みです。
一方、ケアマネジャーは利用者一人ひとりに合わせたケアプランを立案し、さまざまな介護サービス全体の調整役として機能します。
このため、訪問看護とケアマネジャーは密に情報共有しながら、サービス内容の進捗状況や変更点などをすり合わせていく必要があります。
たとえば必要書類のやりとりや訪問日程の調整など、日常的に細かな連絡が発生するのです。
こうした連携を現場で実務的に支えているのが事務職員です。
看護師は日中訪問に出ているため、ケアマネジャーとの日常的なやりとりは看護師だけでは完結しません。
事務職員の丁寧で正確な対応一つひとつが、スムーズな連携体制と信頼関係を築くといえるでしょう。
訪問看護の事務職員がケアマネジャーと連携する際の業務内容
訪問看護の事務職員がケアマネジャーと連携するうえで行う業務は、以下のとおりです。
- 新規依頼の際の受付
- 訪問看護計画書や報告書の送付
- 利用者の訪問予定に関する変更・共有連絡
それぞれ解説します。
新規依頼の際の受付
ケアマネジャーから新規の訪問看護依頼が入る際、事務職員が最初に対応するケースがあります。
事務職員は依頼内容を正確に把握し、必要な情報を確認したうえで、看護師や管理者へ引き継ぐ役割を担っています。
併せて、指示書や保険証の準備状況、他のサービスとの併用の有無なども確認しておくと、その後の対応がスムーズになるでしょう。
受け取った内容を記録に残し、誰がいつどのように対応したのかをわかるようにしておくことで、看護師やケアマネジャーとの連携強化にもつながります。
訪問看護計画書や報告書の送付
訪問看護計画書や報告書は、そもそも送付義務や送付の期限が定められているわけではありません。
しかし、ケアマネジャーにとって利用者さんの状態を把握し、適切なケアプランを作成するために重要な位置づけととらえられています。
そのため、ステーションで独自に設定した期限内に書類を送付し、定期的に状態を報告することが連携を進めるうえで重要です。
利用者の訪問予定に関する変更・共有連絡
看護師のスケジュールの兼ね合いにより、訪問時間の変更が生じることがあります。
そのような場合、事務職員はまず看護師に変更内容を正確に確認したうえで、ケアマネジャーにも速やかに連絡を入れます。
連絡の際には、以下のように伝えるのがポイントです。
「○月○日の訪問予定が▢時から△時に変更となりました。これにより××さんの状態観察が適切に行え、サービス計画への影響は最小限に抑えられます。
このように単純な事実だけでなく、変更における見通しも伝えましょう。
重要な連絡事項については必ず記録に残し、言い忘れや連絡漏れが発生しないよう注意することも大切です。
注意点として、頻繁に時間を変更するのは望ましくありません。
自己都合で予定を変更しやすい事業所だと思われないためにも、変更自体は最小限にしたうえで、上記の伝え方を実践してみましょう。
訪問看護の事務職員がケアマネジャーとの連携を円滑に行うコツ
ケアマネジャーとの連携を円滑に進めるためには、日々の小さなコミュニケーションの積み重ねが大切です。
以下を参考に、コミュニケーションをとっていきましょう。
第一印象で不信感を与えない対応を意識する
電話をとった最初の数秒間は、相手に「感じのよい事業所だ」「安心して話せそうだ」という印象を与えるかどうかを決めるうえで重要です。
その後のやりとりや連携の質に大きく影響するため、名乗り方の順序やスピード、声のトーンや抑揚などに注意を払うことが大切です。
具体的には、以下のように名乗るとよいでしょう。
「○○訪問看護ステーション、事務の△△です」
このように、事業所名→職種名→担当者名の順に、落ち着いたペースでハキハキと名乗ると、聞き手は安心しやすくなります。
電話に出る際に、「誰が出たかのわからない」「なんだか感じがよくない」と伝わってしまわないようにしましょう。
小さなことのようですが、「この事業所になら任せても大丈夫そう」と思ってもらえる第一声こそが、ケアマネとの信頼構築の第一歩といえます。
たとえ事務的な連絡であっても、信頼される応対ができるかどうかは、電話をとる一瞬にかかっています。
ことば遣いに丁寧さと柔らかさをもたせる
ケアマネジャーとの日常的なやりとりは業務連絡が中心となるため、ついことば遣いが事務的・機械的になりがちです。
そのため、文章や会話の一言一句が無機質にきつく響いてしまうと、ケアマネジャー側が萎縮したりストレスを感じたりすることもあります。
たとえば「この書類、合っていますか?」という表現よりも「こちら、念のためご確認いただけますでしょうか?」と伝える方が、相手の気持ちに配慮した印象を与えるでしょう。
また「こちらの書類をできるだけ早くいただけますか?」と聞く場合、一見丁寧なようですが、トゲがあるようにも感じられます。
このような場合は「恐れ入りますが、○日までにご対応いただけますと幸いです」と言い換えると、相手への印象が大きく変わります。
「お手数ですが」「ご多忙のところ恐縮ですが」といったクッションことばを感情の緩衝材として適切に使うと、相手は「こちらへの配慮がある」と感じ、良好な関係性が築きやすくなるでしょう。
単に「伝える」ことよりも「気持ちよく伝わる」ことを優先する姿勢が、ケアマネジャーとの距離を縮め、よりよい連携につながるのです。
一方通行にならない伝え方を心がける
訪問看護ステーションの事務職員がケアマネジャーへ連絡をとる際は、一方通行にならない伝え方を心がけましょう。
情報をただ伝えるだけでは相手に負担をかけたり、誤解を招いたりする恐れがあります。
ケアマネジャーも「伝えてもらった情報に背景や意図がない」と対応に困ることがありますし、最悪の場合「利用者のことを全く考えていない」と受け取られかねません。
それが事業所への信頼低下につながる可能性もあるのです。
一方通行にならないためには、以下の点に注意しましょう。
背景情報を添えて状況をわかりやすく伝える
「〇月分の訪問看護報告書をお送りします。今回は〇〇の変化がありましたのでご確認ください」
このように、書類の中身やポイントを伝える。
今後の対応と相手への影響を明示する
訪問日時の変更であれば、「〇〇様とご家族の了承は得ています。正式な変更に関する連絡書を本日中にFAXで送付いたしますので、ご対応よろしくお願いいたします」
このように今後の段取りを伝える。
連絡手段やタイミングへの配慮を示す
緊急性の低い連絡や文章で残した方がよい内容は、メールやFAXなどを活用する。
まとめ
訪問看護ステーションの事務職員とケアマネジャーの連携は、利用者へのサービス品質を左右します。
日々の電話対応や書類のやりとりなど、一見些細と思われる業務でも、その一つひとつが信頼関係の構築の積み重ねとなっています。
特に「第一印象のよさ」「丁寧で柔らかなことば遣い」「一方通行にならないコミュニケーション」などのポイントを意識することで、ケアマネジャーとの関係性は大きく変わるでしょう。
訪問看護サービスの質と利用者満足度の向上のためにも、事務職員とケアマネジャーの良好な連携体制を構築していきましょう。