「訪問看護事務を辞めたい」
このように悩んでいませんか。
レセプト業務の複雑さ、人間関係のストレスなど、悩みを抱える方は決して少なくないでしょう。
今回は、訪問看護事務を辞めたいと感じる5つの理由と、解決策を解説します。
現状を改善する方法を知り、よりよい方向に進めるようにしましょう。
目次
訪問看護事務が辞めたいと感じる5つの理由
訪問看護事務を辞めたいと感じる人には、どのような理由があるのでしょうか。
ひとつずつ解説していきます。
1.レセプト業務が複雑である
訪問看護のレセプト業務は、医療保険と介護保険の複雑な算定要件により、一般的な医療事務よりも難易度が高いと感じる方もいます。
訪問看護では、利用者の状態や年齢によって医療保険と介護保険のどちらが適用されるかが変わり、さらに多数の加算要件を正確に判断する必要があります。
こうした、状況に応じて複雑に対応方法が異なる点から、精神的な負担を感じる事務員が多いのが実情です。
2.業務量が多く長時間労働になる場合がある
訪問看護事務は、レセプト業務以外にも多くの業務を担当するため、業務量が膨大になりがちです。
主な業務内容は以下のとおりです。
- レセプト作成
- スタッフのスケジュール管理や調整
- 電話対応(利用者・家族・ケアマネジャーなど)
- 指示書や各種書類の管理
- 物品管理と発注業務
- 給与計算や勤怠管理
小規模な訪問看護ステーションでは、これらの業務を事務員が1人で担当することもあるでしょう。
特に月末・月初においては、日中の電話対応や来客対応に加え、レセプト業務を行うため残業が発生することもあります。
3.人間関係に悩む
小規模な訪問看護ステーションでは限られた人数での職場運営となるため、人間関係のトラブルが発生した際の逃げ場がない場合があります。
こうした環境では、一度人間関係に問題が生じると、毎日顔を合わせなければならないストレスが続きます。
特に以下のような問題が発生することもあるのです。
- 看護師との連携がうまくいかない
- 管理者と意見の相違がある
- 利用者や家族からのクレーム対応に疲弊する
- 少人数ゆえ業務負担が偏る
大規模な医療機関のように部署異動という選択肢もないため、人間関係の悩みを抱えた事務員が辞めたいと思うケースがあります。
4.給与・待遇面に不満がある
給与・待遇面での不満があり辞めたいと感じる方もいます。
小規模な訪問看護ステーションでは、大規模病院のような給与体系や福利厚生制度を整えることが困難な場合があるからです。
具体的な課題は以下のとおりです。
- 基本給が低く設定されている場合がある
- 各種手当(資格手当、業務手当など)が少ない場合がある
- 有給休暇がとりにくい場合がある
医療・介護保険制度の知識や正確性が求められる専門性を考慮すると、もう少し見合った報酬がほしいと思う方もいるでしょう。
5.スキルアップがしにくい職場もなかにはある
訪問看護事務員の成長に欠かせないものには以下があります。
- 診療報酬や介護報酬制度の理解
- 加算要件の習得
- 電子カルテ操作
- 接遇やコミュニケーション能力
といった幅広いスキルです。
しかし、教育体制が整っていない事業所では研修機会が乏しく、自己学習に頼らざるを得ないのが現実です。
特に診療報酬は2年ごと、介護報酬は3年ごとに改定があり、そのたびに算定要件や書類様式が変わります。
これらを正しく理解し実務に反映させるには相当な労力が必要で、業務外に学習時間を割かざるを得ません。
基礎知識が十分でない未経験者にとっては、制度改正と自己研鑽の両立は大きな負担となり、将来への不安やキャリア停滞感につながる要因にもなっています。
訪問看護事務を辞めたいと思ったら試したい!現状改善のための5つの対処法
訪問看護事務を辞めたいと思ってもすぐに退職に踏み切るのではなく、まずは現在の職場で状況を改善できる方法を探してみましょう。
以下の対処法を試してみることで、働きやすい環境を作れる可能性があります。
1.上司・管理者に業務内容の相談をする
問題を感情的に訴えるのではなく、具体的なデータと改善案を用意して建設的に話し合いをしてみましょう。
主に以下の4点に注意して試してみてください。
- 問題点を具体的に数値化する:「忙しい」ではなく「月の残業時間が平均45時間」といった客観的なデータを用意する。業務量、処理時間、エラー率などを記録しておく。
- 改善案を準備する:単に問題を指摘するだけでなく、解決策も併せて提案する。たとえば「レセプト業務の効率化のため、チェックリストの作成を提案したい」といった具体案を用意する。
- 相談のタイミングを選ぶ:繁忙期や管理者が忙しい時間を避け、落ち着いて話し合える時間を確認し、アポイントメントをとる。
- Win-Winの視点で提案する:自分の負担軽減だけでなく、事業所全体のメリットも含めた提案を心がける。たとえば「業務効率化により、利用者対応の質も向上できる」といった視点が効果的。
こうした準備をしてから相談すれば、単なる不満を吐き出すよりも解決に結びつきやすくなるでしょう。
2.業務効率化のための工夫をする
日常業務の中で実践できる効率化テクニックを活用し、残業時間を削減しましょう。
具体的な効率化方法をご紹介します。
- レセプト業務の効率化:チェックリストの作成と活用、入力ミス防止のためのダブルチェック体制、月次処理スケジュールの見える化
- 電話対応の効率化:伝言メモの標準化、取り次ぎルールの明確化
- 書類管理の効率化:ファイリングルールの統一、電子化可能な書類の洗い出し
これらの改善を一度にすべて行うのではなく、最も効果が期待できるものから順次実施していきましょう。
小さな改善の積み重ねが大きな時短効果を生み出します。
3.職場内コミュニケーションを改善する
良好な人間関係をつくることで、職場満足度の向上につながります。
特に職員間のコミュニケーション改善について、以下の取り組みを行いましょう。
- 情報共有の改善:朝礼や終礼での情報共有時間の確保、業務連絡の方法とタイミングの統一、重要事項の文書による記録と共有
- 職員相互理解の促進:他職種の業務内容の理解、感謝の気持ちの積極的な表現、建設的な意見交換の場の設定
- トラブル対応の改善:問題発生時の報告ルールの明確化、第三者を交えた話し合いの機会確保
これらの取り組みを通じて、職場全体の雰囲気が改善され、働きやすい環境を作れます。
4.給与・待遇面への相談をもちかけてみる
給与や待遇への不満は、個人の努力だけでは改善が難しい部分もありますが、できる範囲で行動を起こして現状を変えられる可能性があります。
以下のような方法を検討してみましょう。
- 待遇改善を求めて相談する:上司や管理者に、具体的な根拠を示しながら待遇改善の相談する。たとえば「地域の医療事務平均給与」「訪問看護事務の専門性」などのデータを提示する。
- スキルを可視化し評価につなげる:資格取得や外部研修の受講歴、業務改善の実績を文書化して示すことで、給与アップや手当追加の交渉材料にする。
- 働き方を工夫して負担を減らす:フルタイムが難しい場合は、パートや時短勤務など働き方を柔軟に検討するのもひとつ。経済的な不満を「時間的なゆとり」で補う考え方もある。
5.研修によるスキルアップをする
専門知識とスキルの向上により業務への自信を深めるのもひとつです。
もし、職場内での研修の機会があまりないようであれば、外部の研修へ参加してみてください。
ビジケアでは、訪問看護の制度学習に特化した動画学習サービス「マナビジ」を提供しています。
制度理解に必要な知識を体系的に学びたい方は、ぜひお問い合わせください。
まとめ
訪問看護の事務を辞めたいと思う方も中に入るかもしれません。
しかし、もし辞めたいと思ったときには、「どうして辞めたいのだろう」と自問自答してみてください。
辞める前にできる対策があるかもしれません。
ぜひ本記事を参考に、辞める以外の選択肢も見つけていただければ幸いです。