訪問看護レセプトには「明細書」「請求書」「総括票」という3種類の書類があり、それぞれに記載要領が細かく定められています。書類の数が多いうえに記載欄も多く、初めて担当すると「どこに何を書けばいいのか」「間違えるとどうなるのか」が分かりにくく感じるものです。
この記事では、訪問看護レセプトの記載要領を書類の種類ごとに整理したうえで、請求ミス・返戻を防ぐための書き方のポイントまで、実務に沿ってわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 訪問看護レセプトを構成する3種類の書類とその役割
- 明細書(レセプト本体)の主な記載要領
- 請求書・総括票の記載要領
- 請求ミス・返戻につながりやすいポイント
- 記載ミスに気づいたときの対応方法
目次
訪問看護レセプトを構成する3種類の書類
「訪問看護レセプト」とひとくちに言っても、実際には次の3種類の書類(医療保険分・書面請求の場合)がセットになっています(確度高:千葉県国民健康保険団体連合会「訪問看護療養費請求事務の手引」で確認。様式自体は厚生労働省告示による全国共通の様式です)。
| 書類名 | 様式 | 役割 |
| 訪問看護療養費明細書 | 様式第四の二 | 利用者ごとに1か月分の訪問看護の内容・算定を記載する、いわゆる「レセプト本体」 |
| 訪問看護療養費請求書 | 様式第二(国保)/様式第三(後期高齢者医療) | 明細書の件数・訪問日数・請求金額を制度区分ごとに集計した書類 |
| 訪問看護療養費総括票 | 様式第1号の4 | 当月の請求全体(国保・後期高齢者医療の合計)を1枚に集計する書類 |
オンライン請求の場合は総括票の提出が不要になるなど、請求方法によって必要書類が変わる点にも注意が必要です。
明細書(レセプト本体)の記載要領
明細書って記載欄がすごく多いですよね……。全部いっぺんに覚えられる気がしません。
最初は覚えなくて大丈夫です。記載欄はいくつかのグループに分けて考えると理解しやすくなりますよ。
明細書の記載欄は多岐にわたりますが、大きく次のグループに分けて整理できます。
| グループ | 主な記載欄 |
| 基本情報 | 訪問年月、都道府県番号、訪問看護ステーションコード、保険種別、保険者番号、公費負担者番号 |
| 利用者情報 | 氏名・性別・生年月日、特記(高齢受給者証・限度額適用認定証等に応じた区分) |
| 訪問の記録 | 訪問した場所、心身の状態(ADL・該当疾病等コード)、訪問開始年月日・終了年月日時刻、死亡の状況 |
| 主治医・指示関連 | 指示期間、主治医(交付医療機関・医師名、直近報告年月日) |
| 算定内容 | 基本療養費、管理療養費、各種加算、情報提供先 |
| 特記事項 | 要介護被保険者等の医療保険算定など、該当する区分の記載 |
このうち「心身の状態」欄は、自由記載と該当時のコード記載が混在する特に間違いやすい項目です。詳しい記載例や別表7・別表8の疾病等コード一覧は、別記事で個別に取り上げているので、担当になったらあわせて確認しておくとよいでしょう。
請求書(様式第二・様式第三)の記載要領
請求書は、明細書に記載した内容を制度区分ごとに集計して提出する書類です。国民健康保険分(様式第二)と後期高齢者医療分(様式第三)で書式が分かれています。
| 区分 | 様式 | 主な記載欄 |
| 国民健康保険分 | 様式第二 | 訪問年月、ステーションコード、保険者番号、制度区分(本人・家族・未就学者等)ごとの件数・日数・金額、負担金額、公費負担医療の再掲 |
| 後期高齢者医療分 | 様式第三 | 訪問年月、ステーションコード、都道府県番号、給付割合区分(8割・9割・7割)ごとの件数・日数・金額、負担金額、公費負担医療の再掲 |
請求書は「保険者番号別」(国保)・「都道府県番号別」(後期高齢者医療)に作成し、法定外給付を行う明細書がある場合は別に作成する必要があります。公費負担医療がある場合は、法別番号ごとに件数・金額を再掲する点も見落としやすいポイントです。
総括票(様式第1号の4)の記載要領
総括票は、訪問看護ステーションごとの当月の請求すべてを1枚に集計する書類で、当月の請求に対して1枚必要です。主な記載欄は次のとおりです。
- ステーションコード(7桁)
- ステーションの所在地・名称・電話番号・事業者名
- 訪問年月
- 後期高齢者医療分の明細書の総件数・総金額
- 国民健康保険分の明細書の総件数・総金額
- 後期高齢者医療・国民健康保険を合算した合計の総件数・総金額
なお、オンライン請求のみで完結する場合は、総括票の提出自体が不要になります(特別療養費や取り下げ依頼書は書面での提出が必要です)。
請求ミスを防ぐための書き方のポイント
記載要領を理解していても、実務では細かいミスが起こりがちです。手引きで特に注意喚起されている点や、実務でつまずきやすいポイントを整理しました。
①訂正は二重線で行う(修正液は使わない)
手書きで記載・修正する場合は黒インクまたは黒ボールペンを使用し、誤りは修正液等を使わず、該当箇所を二重線で消して正しい内容を書き直すのがルールです。
②返戻された明細書は「原本」への訂正が原則
書面請求の場合、明細書を再作成(再打ち出しや新規の書き直し)して再請求することは認められていません。審査支払機関から返送された明細書そのものを原本として、訂正のうえ再提出する必要があります。返戻付せんも剥がさずにそのまま提出し、内容照会への回答は摘要欄に記載します。
③心身の状態欄・指示期間欄は特に慎重に確認する
オンライン請求の場合、一部負担金・指示期間・心身の状態等の記載内容に誤りがあると、審査支払機関側では修正ができず、そのまま返戻になるとされています。提出前のダブルチェックが特に重要な項目です。
④公費併用・三者併用の記載漏れに注意する
公費負担医療が関わる場合、請求書には法別番号ごとの件数・金額の再掲が必要です。三者併用(複数の公費が関わるケース)では、公費の法別番号ごとにそれぞれ記載する必要があり、記載漏れが起こりやすいポイントです。
POINT
記載要領の細かいルールを一つずつ覚えるよりも、「訪問記録・訪問看護計画書・指示書の内容と、レセプトの記載内容が一致しているか」を確認する習慣をつけることが、結果的に一番のミス防止策になります。
記載ミスに気づいたときの対応
提出前に記載ミスに気づいた場合と、提出後に気づいた場合とで対応が異なります。
- 提出前に気づいた場合二重線での訂正、または再入力・再確認のうえ提出します。
- 提出後、取り下げが必要な場合「診療(調剤)報酬等明細書の取り下げ依頼書」を、明細書を提出した月の15日までに提出します。この期限を過ぎると、審査支払機関から保険者へ取り下げを依頼する手続きが必要になり、明細書が手元に戻るまで時間がかかります。
- 返戻された場合返戻理由を確認し、原本への訂正・回答を行ったうえで、翌月分以降にあわせて再提出します。
返戻・再請求の具体的な流れはレセプト返戻再請求とは?手続きの必要性や流れを解説!で詳しく解説しています。レセコンの操作自体に不安がある方はレセコン入力は未経験でもできる?習得のコツ4つを解説!もあわせてご覧ください。
訪問看護レセプトの記載要領はどこで確認できますか?
様式は厚生労働省告示により全国共通で定められています。具体的な記載要領・記載例は、各都道府県の国民健康保険団体連合会が公表している「訪問看護療養費請求事務の手引」などで確認できます。
明細書・請求書・総括票の違いは何ですか?
明細書は利用者ごとの訪問内容・算定を記載するレセプト本体、請求書は明細書の件数・金額を制度区分ごとに集計した書類、総括票は当月の請求全体を1枚に集計する書類です。オンライン請求のみの場合、総括票の提出は不要になります。
手書きで記載を訂正するときのルールはありますか?
黒インクまたは黒ボールペンを使用し、誤りは修正液等を使わず、該当箇所を二重線で消して正しい内容を記載します。返戻された明細書は再作成が認められないため、返送された原本を訂正のうえ再提出します。
記載ミスに気づいた場合、どうすればいいですか?
提出前であれば二重線での訂正で対応します。提出後に取り下げが必要な場合は、「診療(調剤)報酬等明細書の取り下げ依頼書」を、提出した月の15日までに提出する必要があります。すでに返戻されている場合は、返戻理由を確認したうえで訂正・再請求します。
請求ミスを防ぐために一番大事なことは何ですか?
記載欄ごとの細かいルールを覚えることも大切ですが、最も重要なのは訪問記録・訪問看護計画書・指示書の内容とレセプトの記載内容が一致しているかを確認することです。特に心身の状態欄・指示期間欄は誤りがあると審査支払機関側で修正できず返戻になりやすいため、提出前の確認を徹底してください。
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まとめ|記載要領は「訪問記録との整合性」が最重要ポイント
訪問看護レセプトの記載要領は、明細書・請求書・総括票という3種類の書類それぞれに定められています。記載欄は多く見えますが、訪問記録・訪問看護計画書・指示書の内容を正確に反映させることを徹底すれば、請求ミスの多くは防ぐことができます。
この記事のまとめ
- 訪問看護レセプトは明細書・請求書・総括票の3種類で構成される
- 明細書は基本情報・利用者情報・訪問の記録・主治医関連・算定内容・特記事項に分けて整理すると理解しやすい
- 訂正は二重線で行い、返戻された明細書は原本への訂正が原則
- 心身の状態欄・指示期間欄の誤りは審査支払機関側で修正できず返戻になりやすい
- 記載ミスに気づいたら、提出前の訂正・15日までの取り下げ依頼・返戻後の再請求のいずれかで対応する
次にレセプトを作成・確認するときは、この記事のグループ分けを目安に、訪問記録との突合せを進めてみてください。
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