訪問看護の業務効率化に欠かせないのが、電子カルテ(訪問看護システム)です。とはいえ、多くの製品があり「どれを選べばいいのか」「何を基準に比較すればいいのか」と迷う管理者の方は少なくありません。この記事では、訪問看護の電子カルテを比較するときの観点を、選び方ガイドとして整理しました。特定の製品をランキングするのではなく、自ステーションに合うシステムを見極めるための「比較の軸」を解説します。
この記事でわかること
- 電子カルテの比較は「6つの観点」で行うと迷いにくい
- 観点は、タイプ・機能・請求機能・操作性・料金・サポート
- クラウド型とオンプレミス型では特徴が異なる
- 比較表をつくり、デモやトライアルで実際に試すことが大切
- 現場の看護師の使いやすさも重要な判断材料になる
目次
結論|電子カルテ比較は「6つの観点」で行う
はじめに結論からお伝えします。訪問看護の電子カルテは、「①ソフトのタイプ」「②機能」「③請求・レセプト機能」「④操作性・モバイル対応」「⑤料金」「⑥サポート・セキュリティ」の6つの観点で比較すると、迷わず見極められます。
大切なのは、製品の知名度や価格だけで決めないことです。自ステーションの業務内容や規模に合うかどうかを、観点ごとに具体的に確認していきましょう。
新人事務
電子カルテ、種類が多すぎて、何を基準に比べればいいのか迷ってしまって……。
ベテラン事務
比べる観点を6つに決めておくと、ぐっと迷いにくくなりますよ。順番に見ていきましょう。
訪問看護で電子カルテが必要とされる理由
比較の観点に入る前に、そもそもなぜ電子カルテが必要とされるのかを整理しておきましょう。導入の目的がはっきりすると、比較の軸もぶれにくくなります。この章で解説するのは次の3点です。
- 記録・書類作成を効率化できる
- 請求業務の精度が上がる
- 情報共有とチーム連携がしやすい
記録・書類作成を効率化できる
訪問看護では、訪問看護記録書、訪問看護計画書、訪問看護報告書など、多くの書類を作成します。電子カルテを使えば、タブレットでの記録、音声入力、定型文の登録などにより、これらの作成にかかる時間を大きく減らせます。手書きや紙の管理から解放されることで、看護師の負担も軽くなります。
請求業務の精度が上がる
多くの訪問看護システムには、レセプト(請求明細書)の作成・請求機能が備わっています。日々の記録と請求データが連動することで、転記ミスが減り、請求業務の精度が上がります。医療保険・介護保険それぞれの請求に対応しているかは、重要な確認ポイントです。
情報共有とチーム連携がしやすい
クラウド型の電子カルテなら、訪問先からでも記録を入力・閲覧でき、ステーション内での情報共有がスムーズになります。利用者さんの状態をチームでタイムリーに把握できることは、看護の質にもつながります。
訪問看護の電子カルテ比較|6つのチェック観点
ここからは、この記事の本題である電子カルテ比較の6つの観点を解説します。観点を3つのグループに分けて見ていきましょう。この章のポイントは次の3つです。
- タイプと機能で「何ができるか」を見る
- 請求機能と操作性で「日々の使いやすさ」を見る
- 料金とサポートで「続けやすさ」を見る
観点①②|ソフトのタイプと機能
まず、ソフトのタイプを確認します。インターネット経由で使う「クラウド型」と、自社サーバーで運用する「オンプレミス型」があり、それぞれ特徴が異なります。クラウド型は訪問先からも使いやすく導入コストを抑えやすい一方、オンプレミス型は自社でのセキュリティ管理がしやすい傾向があります。
次に機能です。記録のしやすさ(タブレット対応、音声入力、定型文、画像添付など)や、計画書・報告書の作成機能を確認しましょう。
観点③④|請求機能と操作性
請求・レセプト機能の有無と対応範囲を確認します。医療保険・介護保険の両方に対応しているか、国保連や支払基金への請求に対応しているかは重要なポイントです。
あわせて、現場の看護師が直感的に使えるかという操作性も確認します。毎日使うものだからこそ、画面の見やすさや入力のしやすさは大切な観点です。
観点⑤⑥|料金とサポート・セキュリティ
料金は、初期費用・月額費用・課金の仕組み(利用人数や事業所数による課金など)を確認します。サポート体制では、導入時の支援、操作の問い合わせ対応、制度改定への対応があるかを見ましょう。
医療情報を扱うため、セキュリティ対策が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」などをふまえているかも確認しておくと安心です。
| 比較の観点 | 主なチェックポイント |
| ①ソフトのタイプ | クラウド型/オンプレミス型、訪問先での利用しやすさ |
| ②機能 | 記録・計画書・報告書、音声入力、定型文、画像添付 |
| ③請求・レセプト機能 | 医療保険・介護保険対応、記録と請求データの連動 |
| ④操作性・モバイル対応 | 看護師が使いやすいか、タブレット・スマホ対応 |
| ⑤料金 | 初期費用、月額費用、課金の仕組み |
| ⑥サポート・セキュリティ | 導入支援、制度改定対応、安全管理ガイドラインへの対応 |
失敗しない電子カルテ比較のコツ
6つの観点がわかったところで、比較を実際に進めるときのコツも押さえておきましょう。この章のポイントは次の3つです。
- 比較表をつくって見える化する
- デモ・トライアルで実際に試す
- 現場の看護師の意見を取り入れる
比較表をつくって見える化する
気になるシステムが複数あるときは、6つの観点を縦軸、製品を横軸にした比較表をつくると、違いがひと目でわかります。資料やWebサイトの情報を表に書き込んでいくことで、感覚ではなく事実にもとづいて比較できます。
デモ・トライアルで実際に試す
カタログ上の機能だけでは、実際の使い心地まではわかりません。多くのシステムには、デモや無料トライアルが用意されています。実際の業務を想定して操作し、記録の入力しやすさや画面の見やすさを確かめましょう。
現場の看護師の意見を取り入れる
電子カルテを毎日使うのは、現場の看護師です。事務側の都合だけで決めると、「現場で使いにくい」という結果になりかねません。比較・検討の段階から現場の看護師にも操作してもらい、意見を取り入れることが、導入後の定着につながります。
よくあるご質問(Q&A)
最後に、訪問看護の電子カルテ比較についてよく寄せられる質問を3つ取り上げます。
Qクラウド型とオンプレミス型、どちらがよいですか?
A訪問先からの利用しやすさや導入コストを重視するならクラウド型、自社でセキュリティを管理したい場合はオンプレミス型が選ばれやすい傾向です。ステーションの規模や方針にあわせて判断しましょう。
Q電子カルテに請求機能は必須ですか?
A必須ではありません。ただし、記録と請求が連動するとミスを減らせます。請求を外部に任せる場合は、記録のしやすさを重視して選ぶという考え方もあります。
Q比較するときは何社くらい検討すればよいですか?
A決まりはありませんが、3社程度に絞り、比較表やデモで詳しく見ていくとよいでしょう。検討対象が多すぎると、かえって判断が難しくなります。
まとめ|観点を決めて自社に合うシステムを選ぶ
今回は、訪問看護の電子カルテを比較するときの観点を解説しました。要点を振り返っておきましょう。
この記事のまとめ
- 電子カルテ比較は「①タイプ②機能③請求④操作性⑤料金⑥サポート」の6観点で行う
- 知名度や価格だけで決めず、自ステーションの業務に合うかを確認する
- 比較表をつくり、デモ・トライアルで実際に試す
- 現場の看護師の意見を取り入れると、導入後に定着しやすい
観点を決めて比べれば、自ステーションに合うシステムが見えてきます。
なお、電子カルテで記録から請求まで完結させるか、記録は電子カルテ・請求は代行サービスに任せるか、という組み合わせも選択肢の一つです。請求業務の負担を見極めながら、自ステーションに合った体制を検討してみてください。
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報をもとに作成しています。製品の機能・料金・対応範囲は変わることがあるため、導入の検討にあたっては各システムの最新情報を必ずご確認ください。