- 「訪問看護の電話対応のメモでよくあるミスを知りたい」
- 「正しくメモをとり、情報を伝達できる解決策が知りたい」
このような悩みにお答えします。
訪問看護ステーションの事務職員は電話対応をしながら、用件を正確に聞きとってメモをとることがしばしばあります。
しかし、忙しい現場ではメモをうまくとれないこともあり「言った・聞いていない」というすれ違いによるトラブルが起こることもあります。
メモのとり方が曖昧だったり、情報の共有が不十分だったりすることで、利用者さんやご家族からのクレームにつながるケースも少なくありません。
メモは単なる記録としてだけでなく、他職種との情報連携や信頼構築にも不可欠なツールです。
そこで本記事では、訪問看護の電話対応のメモにおいて、やりがちなミスや正確で共有しやすくする方法を解説します。
目次
訪問看護の電話対応でメモをとる重要性とは?
訪問看護の電話対応でのメモは、ステーションの業務品質を左右します。
なぜなら、「言った・聞いていない」トラブルの防止に直結するからです。
口頭でのやりとりは記録が残らないため、後から「そんなことは聞いていない」「確実に伝えたはず」という水掛け論になりがちです。
メモがあることで、こうした不毛なやりとりを避け、建設的な対応に集中できるようになります。
また、メモは他職種(看護師・管理者・ケアマネジャー)との情報連携の起点にもなります。
訪問看護では多くの関係者が関わるため、正確な情報共有が不可欠です。
メモから始まる記録・申し送り・トラブル対応のすべてが、チーム全体の対応力にも直結するでしょう。
忙しい現場では「伝えたつもり」「聞いたつもり」が多発するため、メモで確実に補完することが欠かせません。
訪問看護の電話応対全体の流れや、よくあるミスについては「訪問看護の電話対応!流れやよくあるミス・対応力を高めるコツ」もご覧ください。
ビジケア訪問看護事務マガジン
訪問看護の電話対応!流れやよくあるミス・対応力を高めるコツ | ビジケア訪問看護事務マガジン
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訪問看護の電話対応時のメモでよくある3つのミス
訪問看護ステーションの電話対応でメモをとる際に起こりがちなミスは、以下の3つです
- 記入漏れ・書き間違いが多い
- メモが個人の書き方で統一されていない
- メモした内容が適切に引き継がれない
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①記入漏れ・書き間違いが多い
氏名・連絡先・用件などの一部記載漏れです。
たとえば「田中さんから電話」とだけ書いて、肝心の用件や連絡先を書き忘れるケースがあります。
また、漢字間違いや聞き間違いをそのまま書いてしまうこともあります。
といったように、似た音の名前を間違えて記録すると、後で連絡がとれなくなる原因になります。
早口で話される方や、雑談の中で用件が不明確になるケースでも、メモの要点が抜けがちです。
その結果、次の対応者が判断に迷い、再度確認の電話をかけることになって二度手間が発生してしまいます。
②メモが個人の書き方で統一されていない
事務職員それぞれが独自の書き方でメモをとるため、用語や略語、言い回しがバラバラになることがあります。
たとえば「NS」「ナース」「看護師」など、意味は同じでも表記が人によってバラバラだと、書き手以外が記録を読んだときに統一感がなく、引き継ぎやすさが損なわれることもあります。
特に略語やカタカナ・漢字が混在すると、メモとしての客観性や共有性が低下します。
③メモした内容が適切に引き継がれない
せっかくメモをとっても、書いただけで共有されていないケースが見られます。
机の上に置いたままにしたり、渡すタイミングを逃して放置したりすることで、大事な情報が埋もれてしまいます。
特に問題なのは、緊急の内容が時間差で伝わることです。
- 「利用者さんの体調が急変した」
- 「サービス変更の希望がある」
といった内容が即座に共有されないと、適切な対応が遅れて信頼を損なうリスクがあります。
正確で共有しやすい電話メモをとるためのコツ
正確で共有しやすい電話メモをとるには、ここから解説する基本的なルールを身につけましょう。
5つの情報を最低限おさえる
電話メモに必要な情報は、次の5つの要素に集約できます。
- 誰が:電話をかけてきた人の名前と立場
- いつ:電話を受けた日時
- 誰に:誰宛ての用件なのか
- 何を:具体的な内容
- どうしてほしいか:求められている対応
これらがすべてそろっていれば、担当者がすぐに適切な行動をとれるでしょう。
「○月○日15:30田中ケアマネより、山田看護師宛て、利用者佐藤様の訪問時間変更希望、明日13:00→15:00要確認電話」
のように、必要な情報を漏れなく記録しましょう。
箇条書き・略語を適度に使う
電話対応中は時間が限られているため、伝達項目を絞って箇条書きにすることが効果的です。
よく使う略語や記号を事前に決めて、ステーション内で共有しておくと、記録時間を短縮できます。
- 「NS=看護師」
- 「CM=ケアマネジャー」
- 「要確認=※」
- 「緊急=★」
例として、このようなルールをつくってみるのもひとつです。
一目で用件が把握できる構成にすることで、メモの読みやすと記載する速さが向上します。
ただし、略語は多用しすぎると逆にわかりにくくなるため、本当に必要な項目のみに絞りましょう。
名前の漢字確認・復唱の習慣をつける
利用者名・ケアマネジャー・医療機関名などの漢字は、必ず確認する習慣をつけましょう。
「恐れ入りますが、お名前の漢字を確認させていただけますでしょうか」
このように丁寧に尋ねることで、正確に記載できます。
また、電話を切る前に復唱(日時・用件・対応先)することで、聞き間違いを防げます。
「確認させていただきます。明日の13時から15時に変更、山田看護師に伝える、ということですね」
といった具合に復唱しましょう。
細かいかもしれませんが、後のトラブル回避につながることを忘れずに、面倒がらずに実践しましょう。
「誰に渡すか」「どう残すか」までがメモの役割と理解する
メモは書いただけでは意味がありません。
担当者の不在を想定して、代理で対応できる人にもわかるようにメモを残すことが大切です。
緊急時は対応ルートを以下のように明示します。
- 「管理者不在時は主任看護師へ」
- 「夜間は○○病院へ連絡」
などの指示も併記しましょう。
「伝えるまでがメモ」という意識をもち、適切な人に適切なタイミングで情報を渡すところまでがメモの役割です。
メモや電話の取り次ぎに関して詳しく知りたい方は、「訪問看護の電話対応の取り次ぎは難しい?迷わず対応するためのポイント」も参考にしてください。
ビジケア訪問看護事務マガジン
訪問看護の電話対応の取り次ぎは難しい?迷わず対応するためのポイント | ビジケア訪問看護事務マガジン
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メモを活用するための運用の工夫
個人的なメモのとり方を改善するだけでなく、ステーション全体でメモを活用するシステムを整えましょう。
ここからは、メモを活用するための運用の工夫を解説します。
すぐ見せられる定型フォーマットを用意する
メモパッドや伝言票をテンプレート化することで、誰でも統一された形式でメモをとれるようになります。
- 日時
- 相手
- 宛先
- 用件
- 対応内容
- 緊急度
- 自由記述欄
などの項目を印刷した用紙を用意しておけば、新人職員も迷わず使えます。
書きやすく、伝えやすく、残しやすい形を整えることで高品質なメモができ、情報の抜け漏れを防げます。
電話の横に常備しておき、いつでもすぐに使えるようにしておきましょう。
受けた内容に応じて「緊急性・優先度」の印をつける
色分け・マーク・欄の使い分けにより、急ぎの内容と通常の内容を明確に区別しましょう。
などの分類を決めておくことで、優先順位がひと目でわかります。
こうした工夫により、重要な内容を見落とすことがなくなり、事故防止につながります。
また、対応済みの案件には「完了」マークをつけることで、処理状況も把握しやすくなるでしょう。
朝礼・申し送りでメモ内容を活かす
メモから申し送りへの転記・共有の手順を明確にすることで、情報の放置を防げます。
朝礼時にメモの内容を確認し、対応状況をチェックする仕組みをつくりましょう。
- 「昨日の未処理案件はありますか」
- 「緊急対応が必要な案件はありますか」
といった確認をすることで、小さな見落としを防げます。
小さな共有が信頼を生み、クレームの防止にもつながることを忘れずに、実施してみましょう。
まとめ
訪問看護の電話対応時のメモは、訪問看護ステーションにおいて「聞く」「伝える」「連携する」を支える重要なツールです。
書き方・使い方にルールを設けることで、個人の技量に依存しがちな情報共有の属人化を防げるでしょう。
一見すると小さなメモですが、その積み重ねが現場のトラブル・ミスを未然に防ぐ大きな役割を果たしてくれます。
紹介したメモの活用法を参考に、ぜひ実施してみてください。
また、電話対応ミスによる伝達漏れや誤解が、クレームにつながるケースもあります。
対応トラブルを防ぎたい方は、「訪問看護のクレーム対応とは?事務員が知っておきたいポイントを解説!」も参考にしてください。
ビジケア訪問看護事務マガジン
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