「クレームの電話がなかなか終わらない」「相手を怒らせずに、どう話を切り上げたらいいかわからない」——訪問看護の事務として電話対応をしていると、こうした場面に必ず一度は直面します。
クレーム電話の対応で大切なのは、相手を言い負かすことではなく、問題解決と話の着地というゴールを見失わないことです。この記事では、電話を穏便に終わらせるための基本姿勢と、シーン別に使える具体的なフレーズを紹介します。
この記事でわかること
- クレーム電話の切り方で意識すべき「ゴール設定」の考え方
- シーン別に使えるクレーム対応フレーズ7選
- 録音の伝え方や折り返し対応など、実務でよくある疑問への答え
目次
クレーム対応における電話の切り方で大切なのはゴール設定
クレーム電話が長引いてしまう背景には、「相手の言い分に反論しよう」「完全に納得してもらってから切ろう」という意識が働いていることが少なくありません。しかし、電話でのクレーム対応におけるゴールは、相手を論破することでも、100%の納得を得ることでもなく、「今この電話で何を解決し、次に何をするかを明確にして、着地させること」です。
クレームの電話が長引くと、どうやって切り上げたらいいのか分からなくなってしまいます……。
「完全に納得してもらう」ことをゴールにすると、いつまでも終われなくなります。「次に何をするか」を伝えて着地させる、と考え方を変えるだけでずいぶん楽になりますよ。
具体的には、相手の話の要点を要約して確認し、「一度持ち帰って検討する」「上長と相談のうえで改めて連絡する」など、次のアクションを明示してから終話することが基本の型になります。この型を押さえておくと、どんなシーンでも応用が利きやすくなります。
注意
「わかりました、失礼します」のように唐突に一方的な終話をするのはNGです。相手からすれば「話を聞いてもらえなかった」という不満が残り、二次クレームに発展しやすくなります。必ず要約と次のアクションをセットで伝えてから電話を終えましょう。
クレーム電話の切り方に使えるフレーズ7選
ここからは、実際の現場でよく起こる7つのシーンに分けて、具体的なフレーズを紹介します。あくまで型として捉え、実際の状況・相手に合わせて言葉を調整してください。
話が堂々巡りで長電話を切り上げたいときのフレーズ
同じ話が繰り返され、これ以上電話口で解決できないと感じたときは、相手の主張を要約したうえで、次のアクションを提示します。話を要約する行為そのものが「きちんと聞いていた」という安心感につながるため、いきなり終話を切り出すよりも角が立ちにくくなります。
フレーズ例
「〇〇様のおっしゃりたいことは、〇〇ということでございますね。その点も含めて、一度上長と相談のうえで、明日改めてご連絡を差し上げます」
ただただ興奮している相手をなだめるフレーズ
相手が感情的になっているときは、まず気持ちを受け止める姿勢を言葉にすることで、落ち着いてもらいやすくなります。反論や説明を急ぐと、かえって相手の興奮を煽ってしまうため、最初の一言は「共感」に徹するのがポイントです。
フレーズ例
「大変おつらいお気持ちだったこと、お察しいたします。まずは落ち着いてお話をお伺いしてもよろしいでしょうか。私どもとしましても、問題を解決するために全力で対応させていただきます」
無理難題を断るためのフレーズ
事業所の規則上どうしても対応できない要望には、理由とともに丁寧にお断りします。「できません」とだけ伝えると冷たい印象を与えてしまうため、「他の利用者様への公平性」など、断る理由を添えることで納得を得やすくなります。
フレーズ例
「大変申し訳ございませんが、そのご要望にお応えすることは当事業所の規則上、致しかねます。皆様に公平なサービスを提供するためですので、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます」
罵詈雑言や人格攻撃を受けたときのフレーズ
職員個人への暴言や威圧的な言動が続く場合は、電話を切る可能性があることを冷静に伝えることも必要です。事務職員は我慢し続ける必要はなく、事業所として毅然とした対応を取ってよい場面です。
フレーズ例
「〇〇様のお話は真摯に伺いますが、職員個人への暴言や威圧的な言動がこれ以上続かれますようでしたら、誠に不本意ではございますが、お電話を切らせていただく場合がございます。どうか冷静にお話しいただけますでしょうか」
「上司を出せ」と言われたときのフレーズ
すぐに代われない場合は、まず自分が用件を承る姿勢を示します。「代われません」とだけ答えると突き放された印象を与えるため、「私が承り、確実に申し伝える」という前向きな言い方に置き換えるのがコツです。
フレーズ例
「申し訳ございません、あいにく〇〇(上長)はただいま他の対応に入っております。よろしければ、まずは私がご用件を承り、〇〇に申し伝えますがいかがでしょうか」
他の利用者さんの個人情報に関わる質問をされたときのフレーズ
他の利用者に関する情報は、個人情報保護の観点から一切答えられないことを明確に伝えます。「言えません」だけで終わらせず、「法律で禁じられている」という根拠を添えることで、相手にも納得してもらいやすくなります。
フレーズ例
「大変申し訳ございませんが、他の利用者様に関わることは一切お答えすることができません。個人情報保護の観点から、法律で固く禁じられておりますので、何卒ご了承ください」
事実と異なる主張をされたときの対応フレーズ
記録と食い違う主張をされた場合も、頭ごなしに否定せず、記録に基づいて冷静に説明する姿勢を示します。「間違っています」と直接的に否定するのではなく、「記録によると」という客観的な根拠を示すことで、対立構造になりにくくなります。
フレーズ例
「左様でございますか。ただ、当方で保管しております記録によりますと、〇〇という状況でございました。もしよろしければ、その記録を基に、改めて状況をご説明させていただいてもよろしいでしょうか」
フレーズを覚えても、いざその場になると頭が真っ白になりそうです……。
最初はメモを手元に置いて読み上げる感覚で大丈夫です。何度か使ううちに、自然な言葉として出てくるようになりますよ。
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クレーム対応の電話の切り方に関するよくある質問
相手が納得しないまま電話を切っても大丈夫ですか?
一方的に電話を切ることは避けましょう。「これ以上お話が平行線であれば、一度持ち帰らせていただきます」というように、次のアクションを伝えたうえで終話することが基本です。
通話を録音していることを相手に伝えてもよいですか?
伝えて問題ありません。「今後のサービス向上のため、また、正確な対応をさせていただくために、この通話は録音させていただきます」と通話の冒頭で冷静に伝えることで、過度な言動を抑制する効果も期待できます。
その場ですぐに回答できない内容を聞かれたときはどうすればよいですか?
無理にその場で答えようとせず、「その件につきましては、正確にお答えするため、担当者に確認のうえ、本日〇時までに、私〇〇から折り返しお電話いたします」というように、折り返しを提案するとよいでしょう。
電話を切った後にやっておくべきことはありますか?
通話の内容は必ず記録に残しておきましょう。日時、相手の要望、こちらの回答、次に約束したアクションをメモしておくことで、次回の対応や上長への報告がスムーズになり、担当者が変わった場合の対応品質も安定します。
まとめ|クレーム電話は「着地」を意識すれば怖くない
クレーム電話の対応は、完璧な納得を得ることを目指すのではなく、状況を要約し、次のアクションを示して着地させることがゴールです。シーンに応じたフレーズを手元に置いておくだけで、いざというときの心の余裕が変わってきます。
この記事のまとめ
- クレーム電話のゴールは「論破」ではなく「次のアクションを示して着地させる」こと
- 興奮・暴言・無理な要望など、シーンに応じたフレーズをあらかじめ用意しておく
- 他の利用者の個人情報や事実と異なる主張には、冷静に一線を引いて対応する
- 録音の告知や折り返し対応も、電話を穏便に進めるための有効な手段
フレーズを型として持っておくことが、事務スタッフ自身の安心にもつながります。