「訪問看護のクレーム対応でNGな対応例ってどのようなもの?」
このようにお悩みではないでしょうか。
利用者さんやご家族との会話で、何気ない一言がきっかけでクレームが大きく発展してしまうことがあります。
それが電話での受け答えであれ、料金に関する説明であれ、対応方法によっては現場で働く看護師や管理者への信頼まで損なってしまう可能性があります。
事務職員として中立的な立場を保とうとしても、感情が先に出てしまったり、あいまいな返答をしてしまったりすると、状況を悪化させる原因になりかねません。
そこで今回は、訪問看護の事務職員によるクレーム対応のNG例と、それを回避するための具体的な方法を詳しく紹介します。
目次
訪問看護のクレーム対応NG例5つ
訪問看護の事務職員がクレーム対応でしがちなNG例を5つ紹介します。
- 感情的に反論してしまう
- その場しのぎであいまいな対応をする
- 話をさえぎったり言い訳したりする
- 謝罪を避ける
- わからないことを勝手に判断して対応してしまう
では実際に、どのような対応がNGとされるのかを見ていきましょう。
クレームの正しい対応例について知りたい方は、「訪問看護のクレーム対応例文を紹介!場面別の伝え方とポイントも」も参考にしてください。
ビジケア訪問看護事務マガジン
訪問看護のクレーム対応例文を紹介!場面別の伝え方とポイントも | ビジケア訪問看護事務マガジン
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①感情的に反論してしまう
電話口で利用者さんやご家族から強い怒りをぶつけられると、つい「でもそれはこちらの説明不足ではなく……」などと反論したくなってしまいます。
事務職員として中立的な立場を保とうとする気持ちは理解できますが、感情が先に立ってしまうと逆効果になってしまいます。
相手が怒っているときは、まず「一度受け止める姿勢」を示しましょう。
反論や説明は、相手の怒りが少し落ち着いてからでも遅くありません。
②その場しのぎであいまいな対応をする
「確認してご連絡します」と伝えておきながら、対応が遅れてしまったり、誰にも相談せずに終わってしまったりするパターンです。
このような対応は、結果として「放置された」「言い逃れされた」と相手に感じさせる原因になります。
あいまいな表現を使うよりも、「確認のうえ、○日中にお返事します」など、具体的な見通しを示しましょう。
そして約束した期限は必ず守り、もし遅れそうな場合は事前に必ず連絡を入れてください。
③話をさえぎったり言い訳したりする
相手の話を途中でさえぎって「それは制度のルールなので……」など、説明を急いでしまうケースです。
事務的に対応したつもりでも、相手には「突っぱねられた」という印象を与えてしまいます。
まずは相手の話を最後まで聴き、「そうだったのですね」などの共感のことばを添えましょう。
共感するだけで、印象は大きく変わります。
制度やルールの説明が必要な場合でも、相手の気持ちを受け止めてから行うことが重要です。
④謝罪を避ける
「私のミスではないし……」と考えて、謝罪のことばを避けたくなる心理は理解できます。
しかし事務職員は「ステーションの顔」として見られており、謝罪がないと誠意が伝わりません。
「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません」など、原因の所在に関係なく相手の気持ちに寄り添う謝罪を意識しましょう。
謝罪は責任を認めることではなく、相手の感情に配慮することだと理解することが大切です。
⑤わからないことを勝手に判断して対応してしまう
看護師や管理者に確認せず「たぶんこうです」「通常は~です」と説明してしまうパターンです。
専門外の内容について推測で回答してしまうと大きなリスクを伴うことになり、誤った情報によって信頼を失う可能性があります。
迷ったときはすぐに確認・共有し、「いったん確認して折り返します」の一言を習慣にしましょう。
クレームのNG対応を避けるために意識したいこと
クレーム対応でNG例を避けるためには、以下の4つのポイントを意識しましょう。
- まずは相手の感情を受け止めて傾聴する
- 事実確認を行ってからていねいに説明する
- 謝罪のことばと具体的な対応策をセットにする
- ひとりで判断せず報告・相談をする
ポイントを意識することで、相手との信頼関係を保ちながら問題が解決できるようになります。
クレーム対応の正しい流れを把握したい方は、「訪問看護のクレーム対応の流れを解説!声かけや対応例も!」の記事も参考にしてください。
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まずは相手の感情を受け止めて傾聴する
利用者さんやご家族は「制度の説明」よりも「気持ちをわかってほしい」と思っていることが多いものです。
無言・無表情・早口での対応はNGで、「そうだったのですね」「お話していただきありがとうございます」と受け止めのことばを添えましょう。
電話対応でも窓口対応でも、まず聴くことが第一歩です。
相手の話を最後まで聴くことで、本当の問題点や要望が見えてくることも多いはずです。
事実確認を行ってからていねいに説明する
事務職は制度・書類・請求などに関する問い合わせも受けることがあるため「間違って答える」ことがトラブルの原因になります。
質問された瞬間にすぐ答えようとせず、「確認のうえお答えさせていただきます」とワンクッションを入れることも大切です。
また、説明する際は専門用語を避けて、わかりやすい表現で相手に合わせた説明を心がけることが重要です。
不明な点があれば遠慮なく質問してもらえるような雰囲気づくりも大切にしましょう。
謝罪のことばと具体的な対応策をセットにする
「申し訳ありません」で終わらず、以下のようにどう対応するかも必ず伝えるようにしましょう。
「ご迷惑をおかけしました。再発防止のため、今後は○○と連携を強化します」
このように、一歩踏み込んだ説明により誠意を示します。
具体的な改善策を示すことで、相手に「今後は大丈夫そうだ」という安心感を与えられるでしょう。
対応策が思い浮かばない場合は、管理者に相談して適切な改善案を検討してもらってください。
ひとりで判断せず報告・相談をする
クレーム対応は、事務職員ひとりで背負い込むものではありません。
判断に迷ったり、対応が困難だと感じたりした場合は、必ず管理者や看護師に報告・相談しましょう。
「あのとき相談していればよかった」とならないように、早めの共有を心がけてください。
チーム全体でサポートしてもらえる環境があることを忘れず、遠慮なく助けを求めることが重要です。
NG対応をしてしまう背景
クレーム対応でNG例が生まれる背景には、事務職員の無意識の思い込みが潜んでいることがあります。
これらの思い込みに気づき、見直すことでクレーム対応の質が大きく向上するでしょう。
- 「これくらい大丈夫」という油断に気づく
- 「忙しいから仕方ない」という自己都合を見直す
- 「言わなくてもわかるはず」という期待を捨てる
- 「マニュアル通りでOK」という思考停止を避ける
実際にどのようなケースで問題が起きたのかを知りたい方は、「訪問看護のクレーム事例と対処・予防のポイントを解説します!」の記事を参考にしてください。
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「これくらい大丈夫」という油断に気づく
- 書類の説明をミスする
- 折り返しの連絡が遅れる
- 名前を読み間違える
こうした「小さなこと」が、後に大きなクレームに発展することがあります。
慣れた業務ほどつい気がゆるむことを意識し、慎重さを忘れないことが重要です。
ささいなミスでも利用者さんにとっては大きな不安材料になる可能性があることを理解しましょう。
日頃からダブルチェックの習慣をつけるなど、ミスを防ぐ仕組みづくりも大切です。
「忙しいから仕方ない」という自己都合を見直す
忙しさから対応が雑になってしまうと、相手は軽んじられたと受け取ってしまいます。
忙しいときほど、一言のていねいさが相手の安心感につながることを覚えておきましょう。
余裕がないときでも「少しお時間をいただけますか?」と声をかけるだけで印象が大きく変わります。
時間がない状況でも、相手を大切に思う気持ちをことばや態度で示しましょう。
「言わなくてもわかるはず」という期待を捨てる
利用者さん・ご家族にとって、制度や手続きの流れははじめてのことばかりです。
「説明したつもり」が「伝わっていない」ことは非常に多いものです。
ていねいに、繰り返し、わかりやすく説明する姿勢を忘れないようにしましょう。
相手の理解度を確認しながら説明を進めることで、認識のズレが防げます。
「マニュアル通りでOK」という思考停止を避ける
マニュアルの説明文をそのまま読み上げても、相手には真意が伝わりません。
事務的すぎる対応は「冷たい」「機械的」と思われやすいものです。
相手の表情や反応を見ながら、ことばに温度を込めて伝える意識をもちましょう。
マニュアルを基本としながらも、一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応を心がけてください。
まとめ
訪問看護のクレーム対応のNG例には、感情的な反論や場当たり的な対応などあります。
こうしたNG例を避けるためには、まず相手の気持ちを受け止め、事実確認を行ってからていねいに説明しましょう。
こうした思い込みを見直し、一人で抱え込まずにチーム全体で対応する姿勢も大切です。
クレーム対応は決して簡単ではありませんが、適切な対応方法を身につけておけば信頼関係が保て、より良いサービス提供につなげられるでしょう。
クレーム対応全体の流れや基礎知識をおさらいしたい方は、「訪問看護のクレーム対応とは?事務員が知っておきたいポイントを解説!」の記事を参考にしてください。
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