- 「訪問看護指示書の依頼は誰がするの?」
- 「事務員が依頼するのはどんなケース?」
- 「依頼の流れを知りたい」
このような悩みを解決します。
訪問看護サービスを提供するために必須の『訪問看護指示書』は、利用者さんやその家族が主治医に発行してもらうように依頼するのが原則です。
しかし、訪問看護の利用について希望を詳細に伝えられない方もいるため、訪問看護ステーションの事務員が代わりに依頼するケースもあります。
そこで今回は、事務員が訪問看護指示書の発行を依頼する場合に知っておきたい基礎知識や、依頼の流れを解説します。
訪問看護ステーションの事務員として働き始めたばかりの方は、指示書関係の業務が円滑に行えるように、ぜひ参考にしてください。
目次
訪問看護指示書とは?事務員が知っておくべき基礎知識
訪問看護指示書は、訪問看護サービスを提供するために医師が発行する大切な書類です。
訪問看護ステーションの事務員として知っておきたい基礎知識を以下で解説します。
訪問看護を受けるために必須の書類
訪問看護指示書とは、利用者さんが自宅で訪問看護サービスを受けるために、医師が記載する書類のことです。
訪問看護ステーションはこの指示書に基づいてサービスを提供するため、「記載内容に間違いがないか」「有効期限は切れていないか」といった点に注意が必要です。
訪問看護指示書がないとサービスを提供できなくなるため、事業所は収入を得られなくなり、運営が成り立たなくなってしまう恐れがあります。
そのため事務員は、指示書に記載された内容を正確にチェックし、適切に管理しなければなりません。
訪問看護指示書の記載内容
訪問看護指示書には、利用者さんの情報や病状、具体的な指示内容(必要な看護・リハビリの内容など)、サービス提供における注意点などが詳しく記載されています。
特に見落としてはいけないのが、指示書の有効期間です。
訪問看護は、医師が記載した有効期間内でなければサービスを提供できません。
期間は1ヶ月から最長6ヶ月と定められていますので、必ず確認しましょう。
事務員が訪問看護指示書を依頼するケース
訪問看護指示書は、原則として利用者さん本人やそのご家族が主治医に依頼して書いてもらうものですが、訪問看護ステーションの事務員やケアマネジャーが依頼することもあります。
介護保険を利用している方の場合、ケアマネジャーが指示書の依頼をすることが多いです。
一方で介護保険の対象者ではなく、医療保険で訪問看護を利用する方の指示書は、訪問看護ステーションの事務員が依頼する場合もあります。
ここでは、事務員が指示書依頼に関わるケース3つを紹介します。
- 新規の利用者さんの受け入れ時
- 指示書の更新時期
- 利用者さんの状態変化時
それぞれ見ていきましょう。
新規の利用者さんの受け入れ時
事務員が訪問看護指示書を依頼する主なケースは、新しい利用者さんを受け入れるときです。
利用者さんから訪問看護ステーションに直接利用したい旨の連絡が来た場合、事務員は速やかに状況を確認し、必要に応じて指示書の依頼手続きをします。
指示書の更新時期
訪問看護指示書には有効期限があるため、事務員は指示書の有効期限を管理し、期限が切れる前に更新の依頼をする必要があります。
期限が切れてしまうと訪問看護サービスを継続できなくなってしまうため、見落としがないように管理しましょう。
利用者さんの状態変化時
以下のように利用者さんの病状が大きく変わった場合、指示書の内容に見直しが必要です。
- 病状の悪化により特別な処置が必要になった
- リハビリの内容に大きな変更が生じた
事務員は訪問看護師と連携し、利用者さんの状態の変化に関する情報を共有し、必要に応じて医師に指示書の変更を依頼する場合があります。
事務員が訪問看護指示書を依頼する流れ
ここからは、指示書を依頼する流れと管理するための手順を詳しく解説します。
ミスをせず、効率的に業務が進められるように以下を参考にしてください。
- 依頼先の連絡先や担当者を確認する
- 医療機関に依頼の連絡をする
- 依頼文書を作成する
- 依頼文書を郵送またはFAXする
- 指示書を受領し内容を確認する
- 指示書の内容に基づいて必要な情報を記録・保管する
順番に解説します。
1.依頼先の連絡先や担当者を確認する
初めに行うのは、指示書を依頼する医療機関の連絡先や担当部署を確認することです。
普段から連携している病院やクリニックであればすでに情報があると思いますが、初めて依頼する場合は病院の代表電話に問い合わせて、訪問看護指示書の窓口を確認しましょう。
多くの場合は「地域連携室」や「医事課」などの部署が窓口になっています。
また、担当者名まで確認しておくと、その後の連絡がスムーズになります。
2.医療機関に依頼の連絡をする
確認した連絡先に電話し、訪問看護指示書を依頼します。
電話でのコミュニケーションは相手に直接声が届き、伝え方によって印象が大きく変わるため、丁寧に依頼内容を伝えましょう。
担当者と話す際は、所属する訪問看護ステーション名と自分の名前、用件を伝えます。
「〇〇訪問看護ステーションの△△と申します」
「〇〇様の訪問看護指示書の発行をお願いしたいのですが」
このように、回りくどい言い方ではなく、簡潔に伝えることが大切です。
用件を最初に伝えることで、相手もスムーズに内容を理解できます。
また、電話でのやり取りは必ず記録に残しましょう。
日付、時間、相手の部署名と担当者名、話した内容などの記録が大切です。
電話の終わりには「お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします」など、丁寧なことばづかいと感謝の気持ちを伝えることを忘れないでください。
相手に良い印象を与え、今後の連携をスムーズに進めるためにも、十分配慮しましょう。
3.依頼文書を作成する
電話での連絡が済んだら、訪問看護指示書の依頼文書を作成します。
やり取りを円滑に進めるためにも、以下の内容を含めたわかりやすく丁寧な文書を作成しましょう。
- 依頼文書の作成日:令和〇年〇月〇日
- 宛先:△△病院 ▢▢先生御机下
- 件名:「訪問看護指示書発行のお願い」や「〇〇様訪問看護指示書発行依頼について」など
- 挨拶文:頭語、時候の挨拶、用件、結語
- 利用者さんの情報:氏名、生年月日、指示期間(訪問看護の開始希望日)
- 差出人情報:訪問看護ステーション名、担当者名、連絡先(電話番号、FAX番号、メールアドレスなど)
作成時には誤字脱字がないか確認し、完成した文書はデータによる保存もしておきましょう。
4.依頼文書を郵送する
作成した依頼文書を医療機関に郵送します。
送付前に文書の内容に間違いがないか、必要な情報がすべて記載されているかを確認しましょう。
郵送時は、ステーションの住所と担当者名を記載し、切手を貼った返信用封筒の同封を忘れないようにしてください。
5.指示書を受領し内容を確認する
医療機関から訪問看護指示書が届いたら、記載内容に間違いがないか、必ず速やかに確認しましょう。
利用者さんの情報、指示内容、有効期限などを確認し、疑問点や内容の誤りがある場合は、医療機関に問い合わせて確認します。
場合によっては再発行を依頼しなければならず、訪問看護の提供が大幅に遅れてしまうことがあるかもしれません。
利用者さんに不都合が生じないように、注意しましょう。
6.指示書の内容に基づいて必要な情報を記録・保管する
指示書の内容を確認したら、必要な情報を記録・保管します。
指示書の有効期限と更新時期をカレンダーやスケジュール管理ソフトなどに記録し、期限切れにならないように管理してください。
また、指示書の原本は大切に保管し、データ化して保存しておくとよいでしょう。
まとめ
今回は、訪問看護指示書の依頼について、事務員が知っておくべき基礎知識や具体的な依頼の流れを解説しました。
訪問看護指示書は、利用者さんが訪問看護サービスを受けるために必須の書類です。
事務員は、指示書の依頼から管理までを担う場合があります。
訪問看護指示書に関する業務は、最初は難しく感じるかもしれませんが、一つひとつの手順を丁寧に行えば、必ずできるようになります。
今回の記事を参考に、自信を持って指示書関連の業務に取り組み、訪問看護ステーションの一員として、利用者さんの在宅生活を支えていきましょう。