「訪問看護指示書の料金って、結局いくらかかるの?」「利用者さんに料金のことを聞かれたけれど、自信をもって答えられなかった……」。訪問看護ステーションで事務を担当していると、こうした場面にぶつかることは少なくありません。指示書の料金は仕組みがやや複雑で、訪問看護の利用料金とも混同されやすいポイントです。この記事では、訪問看護指示書の料金について、金額・支払い先・自己負担額・種類別の違いまで、事務担当者の目線でまるごと整理しました。
この記事でわかること
- 訪問看護指示書の料金は「300点(3,000円)」で、月1回まで算定される
- 料金の支払い先は、訪問看護ステーションではなく医師のいる医療機関
- 負担割合(1〜3割)に応じた自己負担額の早見表
- 特別訪問看護指示書・精神科訪問看護指示書など、種類別の料金の違い
- 利用者さんへ料金をわかりやすく伝える説明のコツ
目次
結論|訪問看護指示書の料金は「300点(3,000円)」
はじめに結論からお伝えします。訪問看護指示書の料金は、診療報酬上「訪問看護指示料」として300点=3,000円と定められています。算定できるのは、1人の利用者さんにつき月1回までです。出典
利用者さんが実際に窓口で支払う金額は、加入している医療保険の負担割合によって変わります。1割負担なら300円、3割負担なら900円というイメージです。そしてもう一つ大切なのが支払い先。指示書の料金は、訪問看護ステーションではなく、指示書を作成した医師のいる病院・クリニックに支払います。
新人事務
利用者さんから指示書の料金を聞かれると、毎回ドキッとしてしまって……。金額も支払い先も自信がなくて。
ベテラン事務
最初はみんなそうですよ。「金額」「支払い先」「回数」の3つを順番に押さえれば大丈夫。一緒に整理していきましょう。
そもそも訪問看護指示書とは?料金が発生する仕組み
料金の話に入る前に、まずは訪問看護指示書そのものについて整理しておきましょう。指示書の役割を理解しておくと、利用者さんへの説明もぐっとスムーズになります。この章で解説するのは次の3点です。
- 訪問看護指示書がどのような書類なのか
- なぜ料金(訪問看護指示料)が発生するのか
- 指示書の有効期間は何ヶ月か
訪問看護指示書は医師が出す「指示の書類」
訪問看護指示書とは、利用者さんの主治医が「この方には自宅での訪問看護が必要です」と判断し、訪問看護ステーションに対して看護の実施を指示するための書類です。訪問看護ステーションは、この指示書がなければ利用者さんの自宅を訪問して看護サービスを提供できません。
つまり指示書は、在宅で訪問看護を受けるために欠かせない「出発点」となる書類です。指示書には、利用者さんの病状や必要な医療処置、留意すべき事項などが記載されます。
料金が発生するのは医師の診察と判断があるから
訪問看護指示書に料金が発生するのは、医師が利用者さんを診察し、専門的な知識にもとづいて「訪問看護が必要かどうか」を判断したうえで指示書を作成しているためです。書類を1枚作成するだけのように見えても、その背景には診察・病状の評価・責任を伴う医学的な判断があります。
この一連の医療行為に対する対価が、診療報酬で「訪問看護指示料」として評価されている、と考えるとわかりやすいでしょう。
訪問看護指示料は、医科診療報酬点数表の「C007」に区分されています。患者の主治医が訪問看護の必要を認め、患者の同意を得て訪問看護ステーション等に訪問看護指示書を交付した場合に、患者1人につき月1回に限り算定するとされています。出典
指示書の有効期間は1〜6ヶ月
訪問看護指示書には有効期間があり、1ヶ月から最長6ヶ月の範囲で医師が期間を定めます。指示期間の記載がない場合は、指示日から1ヶ月が有効期間として扱われるのが一般的です。有効期間が切れる前には、改めて主治医に指示書を依頼する必要があります。
ここで事務担当者が押さえておきたいのは、「有効期間が長くても、料金は発行のたびに1回だけ」という点です。たとえば6ヶ月の指示書が出ても、6回分の料金がかかるわけではありません。
訪問看護指示書の料金はいくら?負担割合別の早見表
ここからは、この記事の本題である訪問看護指示書の料金を、具体的な金額で見ていきます。利用者さんから問い合わせを受けたときにそのまま使える早見表も用意しました。この章のポイントは次の3つです。
- 訪問看護指示料は300点=3,000円
- 窓口での自己負担額は負担割合によって変わる
- 算定できるのは月1回まで
訪問看護指示料は「300点(3,000円)」
訪問看護指示書の料金は、診療報酬上「訪問看護指示料」として300点と定められています。出典診療報酬の1点は10円で計算するため、300点はそのまま3,000円です。
これは、指示書を発行する医療機関側が受け取る報酬の総額にあたります。利用者さんは、このうち自分の負担割合に応じた金額を窓口で支払う、という仕組みです。
自己負担額は負担割合で変わる
実際に利用者さんが窓口で支払う金額は、加入している医療保険の自己負担割合によって変わります。下の早見表で確認しておきましょう。
| 負担割合 | 訪問看護指示料(3,000円)の自己負担額 |
| 1割負担 | 300円 |
| 2割負担 | 600円 |
| 3割負担 | 900円 |
対応のコツ
負担割合は、年齢や所得によって決まります。利用者さんごとに金額が異なるため、「◯◯さんの場合は◯円です」と個別に案内できるよう、事前に確認しておくと安心です。
算定できるのは月1回まで
訪問看護指示料は、1人の利用者さんにつき月1回まで算定できる決まりです。出典同じ月に指示書が複数回発行されても、料金は1回分のみとされています。月をまたいで新しい指示書が発行された場合は、それぞれの月で1回ずつ算定されます。
種類で変わる!訪問看護指示書の料金一覧
「訪問看護指示書」とひとくちに言っても、実は利用者さんの状態に応じていくつかの種類があります。種類によって料金(点数)が異なるため、事務担当者は違いを知っておくと請求業務でも役立ちます。ここで取り上げるのは次の3つです。
- 急な病状悪化に対応する「特別訪問看護指示書」
- 精神疾患のある方向けの「精神科訪問看護指示書」
- あわせて算定されることがある関連加算
新人事務
「特別訪問看護指示書」って、ふつうの指示書と料金が違うんですか?
ベテラン事務
はい。特別訪問看護指示書のときは「加算」として別の点数が発生します。それぞれ順番に見ていきましょう。
特別訪問看護指示書の料金
特別訪問看護指示書は、利用者さんの病状が急に悪化したときや、退院直後・終末期などで、一時的に週4回以上の頻回な訪問看護が必要と医師が判断した場合に発行される書類です。
この場合は「特別訪問看護指示加算」として100点(1,000円)が訪問看護指示料に加算されます。原則として月1回まで、別に厚生労働大臣が定める利用者さんについては月2回まで算定できるとされています。出典
特別訪問看護指示書の有効期間
特別訪問看護指示書は、緊急的な対応のための書類のため、有効期間が最長14日間と短く設定されています。通常の訪問看護指示書(1〜6ヶ月)とは期間が異なる点に注意しましょう。
精神科訪問看護指示書の料金
精神疾患のある利用者さんに精神科訪問看護を行う場合は、「精神科訪問看護指示書」が必要です。この料金は「精神科訪問看護指示料」として300点(3,000円)と定められています。出典
通常の訪問看護指示料と点数は同じですが、対象となる利用者さんや書類の様式が異なる、別の区分(医科診療報酬点数表のI012-2)である点を押さえておきましょう。
あわせて知りたい関連加算
指示書に関連して、状況に応じて算定される加算もあります。代表的なものを下の表にまとめました。
| 名称 | 点数(金額) | 主な対象 |
| 訪問看護指示料 | 300点(3,000円) | 訪問看護の指示書を交付したとき |
| 特別訪問看護指示加算 | 100点(1,000円) | 急性増悪等で頻回の訪問が必要なとき |
| 精神科訪問看護指示料 | 300点(3,000円) | 精神科訪問看護の指示書を交付したとき |
| 手順書加算 | 150点(1,500円) | 特定行為の手順書を交付したとき |
| 衛生材料等提供加算 | 80点(800円) | 衛生材料等を提供したとき |
※点数は令和6年度(2024年度)診療報酬改定時点のものです(出典:厚生労働省)。算定要件の詳細や最新の取り扱いは、厚生労働省の通知や各種点数表をご確認ください。
料金の支払い先でつまずかないための注意点
訪問看護指示書の料金で、もっとも誤解が生じやすいのが「どこに支払うのか」という点です。利用者さんが混乱しやすいポイントでもあるため、事務担当者がしっかり理解しておきましょう。この章で解説するのは次の3点です。
- 支払い先は訪問看護ステーションではない
- 訪問看護の利用料金とはまったく別の費用
- 利用者さんへわかりやすく伝える説明のコツ
支払い先は「訪問看護ステーション」ではない
訪問看護指示書の料金は、指示書を作成した医師のいる病院やクリニックに支払います。訪問看護ステーションに支払うものではありません。
利用者さんは、医療機関を受診した際や指示書が発行されたタイミングで、医療機関の窓口で精算します。「訪問看護を受けているのだから、訪問看護ステーションに払うのでは?」と思われがちですが、ここははっきり区別して案内しましょう。
訪問看護の利用料金とはまったく別の費用
訪問看護指示書の料金と混同されやすいのが「訪問看護の利用料金」です。両者は支払い先も発生のタイミングも異なります。下の表で違いを整理しておきましょう。
| 項目 | 訪問看護指示書の料金 | 訪問看護の利用料金 |
| 内容 | 医師が指示書を作成する費用 | 実際の訪問看護サービスの費用 |
| 支払い先 | 指示書を出した医療機関 | 訪問看護ステーション |
| 発生のタイミング | 指示書の発行月に1回 | 訪問看護を利用するたび |
利用者さんへわかりやすく伝えるコツ
料金について問い合わせを受けたときは、専門用語を避け、できるだけ具体的な金額で伝えることが大切です。たとえば、次のように説明するとスムーズに伝わります。
「訪問看護指示書は、主治医が『訪問看護をしてください』と当ステーションに指示を出すための書類です。この書類の料金は月1回・3,000円で、窓口での自己負担は1割の方なら300円になります。お支払い先は当ステーションではなく、指示書を書いてくださった病院です。」
ベテラン事務
最後に「ご不明な点はいつでもご連絡くださいね」と一言添えると、利用者さんも安心して質問しやすくなりますよ。
新人事務
なるほど、金額だけでなく「安心して聞ける雰囲気」をつくることも大事なんですね。
よくあるご質問(Q&A)
最後に、訪問看護指示書の料金について利用者さんから寄せられやすい質問を3つ取り上げます。事務員として自信をもって答えられるよう、回答例とあわせて確認しておきましょう。
Q訪問看護指示書の料金は毎月発生しますか?
A毎月必ず発生するわけではありません。料金は、指示書が発行された月に1回支払います。指示書の有効期間が複数月にわたっていても、料金が発生するのは発行された月の1回だけです。
Q複数の訪問看護ステーションを利用する場合、料金はどうなりますか?
A複数のステーションを利用する場合、それぞれのステーション宛てに指示書が交付されます。ただし、利用者さんが支払う指示書の料金は、発行された月に1回のみとされています。
Q入院中の外泊で訪問看護を利用しました。料金はいつ支払いますか?
A入院中の外泊時に指示書が発行された場合は、退院するときにあわせて精算するのが一般的です。取り扱いは医療機関によって異なることがあるため、念のため発行元の医療機関にご確認いただくと安心です。
まとめ|指示書の料金を理解し、請求業務をスムーズに
今回は、訪問看護指示書の料金について解説しました。要点を振り返っておきましょう。
この記事のまとめ
- 訪問看護指示書の料金は「訪問看護指示料」として300点(3,000円)、月1回まで算定される
- 窓口での自己負担額は、負担割合に応じて1割300円・2割600円・3割900円
- 支払い先は訪問看護ステーションではなく、指示書を書いた医療機関
- 特別訪問看護指示書は加算100点、精神科訪問看護指示書は300点など、種類で料金が異なる
仕組みを整理して理解しておけば、利用者さんからの問い合わせにも落ち着いて対応できます。
とはいえ、指示書の管理やレセプト請求といった事務業務は、日々の訪問対応と並行して進めるには負担が大きいのも事実です。請求にかかる時間やミスにお悩みの場合は、レセプト請求の代行サービスを活用するのも一つの選択肢として検討してみてください。
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報をもとに作成しています。診療報酬の点数や算定要件は、改定・通知により変わることがあります。最新の情報は厚生労働省の通知や各種点数表をご確認ください。