- 「訪問看護で求められる接遇とは?」
- 「事務職員が押さえるべきマナーやポイントが知りたい」
このような悩みにお答えします。
訪問看護ステーションにおいて、接遇は看護師だけが意識すればよいものではありません。
事務職員の対応も、利用者さんやご家族に与える印象を大きく左右します。
特に最初の窓口となる事務職員の態度やことば遣いは、ステーション全体の信頼性や評価に直結するため、適切な接遇マナーを身につけることが不可欠です。
そこで本記事では、訪問看護ステーションで働く事務職員が押さえておきたい接遇マナーと具体的な対応のポイントを解説します。
目次
訪問看護における接遇の重要性とは
医療・介護業界では、専門的なサービスの質だけでなく、スタッフの接遇態度が利用者さんやご家族からの信頼を大きく左右します。
訪問看護ステーションにおいても例外ではなく、最初に対応する事務職員の印象が、ステーション全体の評価に直結することを認識しておきましょう。
「訪問する看護師だけでなく、事務員も接遇意識をもつべきである」
このような認識をもっておくことが重要です。
適切な接遇とは単なる形式的なものではありません。
利用者さんを心理的に支え、信頼関係を構築するうえで不可欠なスキルともいえます。
事務職員は「縁の下の力持ち」と思われがちですが、実際には訪問看護サービスの「顔」として、重要な役割を担っているのです。
訪問看護ステーションで求められる事務職員の接遇マナー
訪問看護ステーションの事務職員には、次のような接遇マナーが求められます。
順番に解説します。
電話対応の基本マナー
電話応対では、明るくはきはきとした声のトーンが大切です。
耳からの情報だけで印象が決まるため、声の調子や話し方に気を配りましょう。
電話を受けたら以下のように名乗り、相手の名前と要件を確認します。
「訪問看護ステーション○○です。△△が承ります」
聞いた内容は正確かつ簡潔にメモを残しましょう。
特に体調変化の連絡などは、看護師に正確に伝える必要があるため、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して聞き取ることが重要です。
担当者が不在の場合には、「○○が戻り次第ご連絡いたします」と丁寧に案内し、相手を不安にさせないよう配慮します。
また、電話を切る際は「ありがとうございました。失礼いたします」など、感謝のことばで締めくくりましょう。
来客・受付対応の基本マナー
来訪者に直接対応する場合は、見た目の第一印象が重視されるため、明るい笑顔や丁寧なことば遣いを心がけましょう。
- 「こんにちは。お世話になっております」
- 「本日はどのようなご用件でしょうか」
など、相手を歓迎することばをかけ、訪れた方に安心感を与えることが大切です。
また用件を確認した後は、「少々お待ちください」といった配慮の一言を添えるだけでも、印象は大きく変わります。
応接スペースへの案内では、姿勢を正し、自然な笑顔を心がけます。
「こちらにどうぞ」と案内する際は、相手の前に立って誘導するのがマナーです。
待合室での案内やお茶出しなども、細やかな配慮として評価されます。
待ち時間が長くなりそうな場合には、「お待たせして申し訳ありません」などの声掛けを忘れずに行いましょう。
手続きの説明では、わかりやすい敬語と丁寧なことば遣いを意識します。
専門用語や略語は避け、必要に応じて図や例を用いて説明しましょう。
面談後のお見送りも、立ち止まってしっかりと挨拶し、「お気をつけてお帰りください」と一言を添えるなどして、最後まで丁寧な対応を心がけます。
接遇で注意したいポイント
接遇の質を高めるためには、以下3つの要素に気を気張りましょう。
ここからは、訪問看護ステーションの事務職員として特に意識すべき接遇のポイントを解説します。
見た目を意識する
訪問看護ステーションの事務職員として、清潔感のある身だしなみを心がけることは基本中の基本です。
服装や髪型に配慮し、派手な色や柄は避け、清潔感のある落ち着いた恰好をしましょう。
爪は短く切り、マニキュアは控えめにする、髭はきれいにそっておくなどすることで、全体的な印象が大きく変わります。
香水やアクセサリーも控えめにし、医療・介護の現場にふさわしい品位ある身だしなみを意識しましょう。
ことば遣いを意識する
適切な敬語を使い、相手に対して丁寧な印象を与えましょう。
「ですます調」で話すのは言うまでもありませんが、状況に応じて丁寧語や謙譲語を適切に使い分けることが大切です。
また、高齢の利用者さんやご家族に対しては、わかりやすくゆっくりと話すことを心がけましょう。
声のトーンにも注意し、明るく温かみのある声で話すことで、相手に安心感を与えます。
また、同じ意味でも言い方によってきつく聞こえてしまう表現もあるため、以下のように言い替えましょう。
- 「ちょっと待ってください」⇒「少々お待ちください」
- 「わかりません」⇒「確認してまいります」
態度を意識する
無愛想な態度は避け、相手の目を見て話すように心がけましょう。
また、適度なうなずきや相づちをうつことで、「しっかり話を聞いている」という印象を与えることが大切です。
忙しいときでも、急かしたり焦らせたりしないよう、相手のペースに合わせた対応を心がけてください。
特に高齢の方や障害をもつ方への対応では、ゆっくりと丁寧に、必要に応じて筆談やジェスチャーを交えるなどの工夫が求められます。
プライバシーにも配慮し、他の利用者さんや来訪者に聞こえないように、会話する場所にも注意を払いましょう。
必要に応じて個室や仕切りのあるスペースへ案内するなどの配慮も大切です。
接遇力を高めるためにできること
接遇スキルは一朝一夕で身につくものではなく、日々の振り返りや継続的な学習が重要です。
ここでは、自己成長のための具体的な方法として、日常的なセルフチェックと研修活用の2つの方法を紹介します。
これらの取り組みを通じて、着実に接遇力を高めていきましょう。
日常業務でセルフチェックをする
接遇力を向上させるためには、日々の業務を振り返り、改善点を見つける習慣をつけましょう。
1日の業務を振り返り、「今日の対応はどうだったか」を自己点検します。
たとえば、次のようなチェックポイントを設けると効果的です。
- 笑顔で挨拶ができたか
- 適切な敬語を使えたか
- 相手の話をしっかり聞けたか
- 丁寧な説明ができたか
- クレームに適切な対処ができたか
こういった振り返りにより、改善点を見つけましょう。
また、同僚や上司からのフィードバックを素直に受け入れ、自分では気づかない点を改善していく姿勢も重要です。
接遇研修やOJTを活用する
ステーション内での研修やOJTを積極的に活用しましょう。
敬語の使い方やクレーム防止のための対応術など、現場に直結するテーマを取り上げると効果的です。
訪問看護ステーション向けの接遇研修プログラムには、次のような内容があります。
研修テーマ | 主な内容 |
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基本的な接遇マナー | 挨拶、身だしなみ、ことば遣い、態度 |
電話対応スキル | 電話の受け方、メモの取り方、伝言の仕方 |
クレーム対応 | 苦情の受け止め方、謝罪の仕方、解決策の提案 |
コミュニケーション技術 | 傾聴スキル、質問技法、共感的理解 |
認知症の方への対応 | 疾患の理解、コミュニケーションの工夫 |
また他のステーションの見学や、異なる職種の接遇を学ぶ機会があれば、積極的に参加するのも良いでしょう。
さまざまな視点から接遇を学ぶことで自分の強みや弱みを再認識でき、さらなるスキルアップにつながります。
まとめ
訪問看護事務の接遇対応は、利用者や家族に安心感を与え、ステーション全体の信頼につながる重要なものです。
接遇力を高めるためには、日々のセルフチェックや定期的な研修参加など、継続的な努力が欠かせません。
日々の小さな意識の積み重ねが、結果として大きな評価へと結びつきます。
訪問看護ステーションの事務職員として、自分の役割の重要性を再認識し、誇りをもって接遇力向上に取り組んでいきましょう。