クレーム対応の「言った言わない」トラブルの解決法を解説!

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顧客

あの時、確かにこう言いましたよね!?

訪問看護の事務員

いいえ、聞いていません!

顧客対応の現場で精神を削られることのひとつが、「クレーム対応における言った言わない」のトラブルです。

証拠がない水掛け論では、スタッフが疲弊したり組織信用を失墜させたりといったリスクがあります。

今回は、クレーム対応で言った言わないと水掛け論になった場合の具体的な会話術と、トラブルを防止する方法を解説します。

目次

クレーム対応で「言った言わない」が起きる原因

「言った言わない」のトラブルは、どちらかが悪意を持って嘘をついているケースばかりではありません。

多くの場合、人間の記憶のあいまいさと心理的な防衛本能が複雑に絡み合って発生します。

まずは、このようなすれ違いがなぜ起きるのか、その理由を3つの視点から解説します。

双方の記憶違いと確証バイアス

人間には、自分の思い込みや願望に合わせて情報を無意識に取捨選択してしまう「確証バイアス」という心理作用があります。

たとえば、利用者が「料金は安くなる」と期待していると、説明者が「条件によっては安くなる」と言ったとしても、「安くなる」という部分だけを強く記憶してしまいます。

これにより、お互いが「自分は正しい」と本気で信じ込んでいるため、議論は平行線をたどります。

どちらかが嘘をついているわけではないので、嘘つき呼ばわりするような態度は火に油を注ぐだけです。

記録の欠如とコミュニケーションの齟齬

トラブルが泥沼化する最大の原因は、客観的な記録が存在しないことです。

電話対応の現場では、口頭でのやり取りが中心になりがちです。

その場では合意したつもりでも、時間が経てば記憶は薄れ、都合の良いように書き換えられてしまう恐れがあります。

  • 「メモを残していない」
  • 「復唱確認をしていない」

こうした手間を惜しんでしまうと、後に「言った言わない」という大きなトラブルにつながるのです。

相手が「言った」と言い張る背後にある心理的欲求

相手が頑なに「あなたはこう言った!」と主張し続ける背景には、事実を認めさせたいという以上に「自分の立場を分かってほしい」という強い欲求が隠れている場合があります

特に医療・介護の現場では、利用者さんや家族は不安を抱えています。

「説明不足で軽んじられた」

と感じてしまうと、その不満が「言った言わない」という形に変換されて攻撃的になることがあるのです。

相手が求めているのは、事実の確認よりも「自分の不安や不満を受け止めてもらうこと」であるケースが多いといえます。

【5ステップ】クレーム対応で「言った言わない」となった場合の対処法

ここからは、実際に水掛け論になってしまった際に、スムーズに事態を収拾させるための5つのステップを解説します。

1.事実は追及せず「不快な思い」に対して部分謝罪する

まず行うべきは、全面的な謝罪でも反論でもなく、「部分謝罪」です。

  • 「結果として相手に不快な思いをさせたこと」
  • 「分かりにくい説明ですれ違いが生じたこと」

これらについて謝罪し、「言った言わない」の事実関係には触れないようにしましょう。

「私の説明が至らず、誤解を招いてしまい申し訳ありません」

と伝えることで、こちらの非を認めずに相手の怒りをクールダウンさせられます。

まずは相手の感情に寄り添う姿勢を見せましょう。

2.相手の言い分を否定せずに「認識のズレ」として扱う

相手が「絶対にこう言った!」と主張しても、「いいえ、言っていません」と真っ向から否定してはいけません。

相手のプライドを傷つけ、態度を悪化させてしまいます。

「〇〇様は□□と受け取られたのですね」と相手の認識を一度肯定したうえで、「私の認識では△△と考えておりました」

と伝えます。

ポイントは嘘か本当かではなく、「お互いの認識にズレがあった」という形に着地させることです。

これにより、勝ち負けの争いを避けることができます。

3.解決策へ話をスライドさせる

お互いの認識が出揃ったら、すぐに話題を切り替えます。

「言った言わない」の水掛け論は、どれだけ時間をかけても答えが出ないからです。

「今後の対応についてご相談させていただけないでしょうか?」

と切り出しましょう。

「過去(原因)」ではなく「未来(解決)」に焦点を移すのが、トラブル解決のポイントです。

建設的な話し合いの土俵に相手を誘導しましょう。

4.こちらの譲歩案(代替案)を提示して着地点を探る

未来の話に切り替わったら、現実的な解決策(落とし所)を提示します。

こちらのミスが確定できない以上、相手の要求をすべて飲む必要はありません。

しかし、解決のためにできる範囲の「譲歩案」や「代替案」を出しましょう

「当初のご要望通りにはできませんが、〇〇という形であれば対応可能です」

このように選択肢を示します。

相手に「自分で選んだ」と感じさせることで、納得感をもってトラブルを収束させやすくなります。

5.平行線が続く場合は「毅然とした態度」で会話を打ち切る

誠意をもって対応しても、相手が理不尽な要求を繰り返す場合は、毅然とした態度で線を引く必要があります。

「これ以上の対応はいたしかねます」

とはっきり伝え、会話を打ち切る勇気も必要です。

終わりのない議論に付き合い続けることは、他の業務やスタッフを守るためにも避けなければなりません。

「組織としてできないことはできない」と一貫した態度を示すことが、最終的にトラブルの解決につながります

「言った言わない」の局面を切り抜けるフレーズ集

とっさの対応で言葉に詰まると、相手に不信感を与えてしまいます。

ここからは、現場ですぐに使える具体的なフレーズを紹介します。

状況に合わせて使い分けてみましょう。

証拠がない状況で相手の記憶を尊重するクッション言葉

相手の記憶を否定せずに、こちらの主張を伝えるためのフレーズです。

  • 「私の記憶の限りではございますが~」
  • 「私の認識不足で申し訳ありませんが~」
  • 「〇〇様のおっしゃる通りに受け取られてしまったとしたら、私の説明不足でございます」

これらのクッション言葉を挟むことで、角を立てずにこちらの認識を伝えられます。

こちらに非がない場合の「謝罪ではない」共感フレーズ

自分たちに落ち度がない場合、安易に「すみません」と言うと責任を認めたことになります。

謝罪ではなく「共感」を示しましょう。

  • 「そのようなお気持ちにさせてしまい、心苦しく思います」
  • 「ご期待に添えず、残念なお気持ちは重々承知しております」
  • 「ご不便をおかけしてしまい、大変恐縮です」

「あなたの辛さは分かっています」というメッセージを伝えることで、相手の敵対心を和らげます。

話が堂々巡りになった時に話題を転換するキラーフレーズ

水掛け論が続き、会話が行き詰まった時に流れを変える強力な一言です。

  • 「〇〇様にとって良い解決になるように、今後のことをお話しさせていただけないでしょうか?」
  • 「事実確認が難しい状況ですので、今私たちができる最善のご提案をさせてください」

相手のメリットを提示しながら、強制的に視点を未来へ向けられます。

無理な要求をされた時の「お断り」の定型句

恫喝や過度な要求に対しては、丁寧かつ断固とした拒絶のフレーズを使います。

  • 「そのご要望にはお応えいたしかねます」
  • 「組織としての決定ですので、これ以上申し上げられることはございません」
  • 「恐れ入りますが、このままのお話が続くようであれば、電話を切らせていただきます」

あいまいな返事は期待をもたせるだけなので、「できない」という結論を短く伝えることが重要です。

二度と揉めない!「言った言わない」を未然に防ぐ5つの方法

ここからは、組織としての予防策5つを紹介します。

精神論ではなく、物理的な仕組みでスタッフを守りましょう。

復唱確認の徹底と「認識合わせ」の技術

会話の中で効果的なのが、相手の言葉を繰り返す「復唱確認」です。

「〇〇ということでよろしいですね?」

と確認するだけで、その場での誤解を防げます。

また、電話の最後には「本日の決定事項」を要約して伝える習慣をつけましょう

これにより、相手の記憶に正しい情報を定着させ、確認した事実を双方で作れます。

電話対応中のメモと通話録音システムの導入

人間の記憶はあてになりません。

導入可能であれば、通話録音システムを利用しましょう。

録音があるという事実だけで、スタッフの安心感は劇的に向上します

また、アナウンスで「通話は録音されています」と流すだけで、クレーマーへの強力な抑止力になるでしょう。

コストがかかる場合でも、トラブル対応の人件費や精神的コストを考えれば、十分に元が取れる投資です。

会話終了後の「メール・書面」での記録

重要な会話をした後は、必ず記録を作成します。

「先ほどのお電話の内容をまとめました」とメールを送るのもひとつの方法です。

「言った言わない」が発生するのは、口頭だけのやり取りだからです。

文字情報として残せば、後から言いがかりをつけられる隙を塞げます

重要事項説明書や契約書を用いた読み合わせと記録

医療・介護の現場では、契約時の「重要事項説明」が命綱になる場合があります。

単に書類を渡すだけでなく、重要箇所をマーカーで引きながら一緒に読み上げ、相手に「はい、理解しました」と言ってもらうプロセスを踏みましょう

「〇月〇日、〇〇について説明し、同意を得た」

とカルテや日誌に記録することで、トラブルになっても組織を守る強力な武器となります。

顧客管理システムへの詳細な記録

顧客情報は単なる連絡先や病状だけでなく、やり取りの経緯や「相手の感情」まで顧客管理システムに記録します。

  • 「〇〇について強いこだわりがある」
  • 「△△の話題で不機嫌になった」

といった定性的な情報を共有することで、担当者が変わっても同じ地雷を踏まずに済みます。

組織全体で情報を共有し、「誰が対応しても大丈夫」な状態を作ることが、リスク管理の基本です。

まとめ

クレーム対応における「言った言わない」は、過去を掘り返しても解決しません。

感情的な水掛け論に巻き込まれそうになったら、深呼吸をして「未来の話」へ切り替えましょう。

二度と同じミスをおかさないように、今日から「記録」の体制を整えてください。

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