- 「来客にお茶を出すことになったけれど、マナーに自信がない」
- 「上座や下座、出し方の手順を間違えて失礼にならないか不安」
このように悩んでいませんか。
お茶出しは単なる雑用ではなく、来客への歓迎の意を示す大切なコミュニケーションです。
今回は事務業務の一環として、お茶の出し方を知りたい方に向けて、基本的なマナーを解説します。
正しいマナーを身につければ、失敗への不安が消えるだけでなく、相手に「心地よい」と感じてもらえるスマートな対応ができるようになります。
お茶出しの基本をマスターして、自信を持って来客を迎えましょう。
目次
お茶出しの基本的な流れと心構え
お茶出しをスムーズに行うためには、全体の流れと心構えを理解しましょう。
詳しく解説していきます。
準備から退室までの流れ
お茶出しの一連の動作は、以下の順序で行うのが基本です。
- 給湯室でお茶を準備しお盆に乗せる
- ノックをして入室し、お辞儀をする
- サイドテーブルなどにお盆を置く
- 上座のお客様から順にお茶を出す
- お盆を持ってドア前でお辞儀をし、退室する
この順番を体に染み込ませておけば、急な来客でも慌てることはありません。
まずはこの型を意識して動いてみましょう。
お茶出しのゴールは「相手に心地よく過ごしてもらうこと」
マナーを守ることは大切ですが、最も重要な目的は「相手への配慮」です。
形式にとらわれすぎて表情が硬くなったり、ぎこちなくなったりしては本末転倒です。
「わざわざお越しいただきありがとうございます」という感謝の気持ちを持って対応しましょう。
あなたの温かい雰囲気は、必ず相手に伝わり、場の空気を和ませます。
おいしいお茶と共に、心地よい時間を提供することを意識してください。
清潔感と安全への配慮(感染症対策含む)
お客様が口にするものを扱うため、衛生管理は徹底しなければなりません。
手洗いや消毒はもちろん、茶器に汚れやひび割れがないか、必ず事前に確認します。
特に近年は感染症対策への意識が高まっており、マスクの着用や、個包装のお菓子を選ぶといった配慮も求められます。
相手が安心して口をつけられるように、清潔感を第一に行動しましょう。
安心感もまた、おもてなしの一つです。
準備で9割決まる!お茶を入れる前に確認すべき5つのポイント
おいしいお茶をスマートに出すためには、事前の準備が欠かせません。
以下の5つのポイントを確認してから給湯室を出ましょう。
- 身だしなみと手洗いの徹底
- 茶器のチェック
- お茶の適温
- お盆(トレイ)への正しい乗せ方
- おしぼりや布巾の準備
準備不足は現場での焦りにつながります。
一つひとつ確認していきましょう。
1.身だしなみと手洗いの徹底
お茶を出す際、お客様の視線は自然と手元に向かいます。
爪が伸びていたり、汚れていたりすると、どんなにおいしいお茶でも不潔な印象を与えてしまうでしょう。
作業する前に石鹸で手首まで丁寧に洗い、アルコール消毒を行いましょう。
長い髪は結び、袖口が汚れていないかも確認します。
清潔な手元は、相手への敬意を表す基本中の基本です。
2.茶器のチェック
使用する湯呑みやカップは、必ず明るい場所で目視確認してください。
茶渋(ちゃしぶ)がついていたり、飲み口が欠けていたりする器をお客様に出すのは大変失礼です。
また、洗った後の水滴がついているのもマナー違反です。
清潔な布巾でしっかりと拭き上げ、指紋がつかないように高台(こうだい:器の底の足部分)などを持ちましょう。
器の状態は会社の品格を映す鏡だと思ってチェックします。
3.お茶の適温
飲み物にはそれぞれ、おいしく感じられる適温があります。
- 煎茶(日本茶):70〜80度(熱湯を少し冷ましてから入れる)
- コーヒー・紅茶:90〜95度(熱々のお湯で香りを引き出す)
- 玉露:50〜60度(ぬるめのお湯で甘みを引き出す)
熱すぎるお茶は火傷の原因になり、ぬるすぎると風味が落ちてしまいます。
季節や相手の好みに合わせつつ、基本の適温を守ることで「おいしい」と感じてもらえます。
4.お盆(トレイ)への正しい乗せ方
ここが多くの人が間違えやすいポイントです。
運ぶ際は、湯呑みと茶託(ちゃたく:お茶の下に敷く受け皿)を別々に乗せて運びます。
セットして運ぶと、歩行中の振動でお茶がこぼれ、茶託が濡れてカップとくっついてしまう恐れがあります。
お客様に出す直前にセットするのが正しい手順です。
ただし、人数が多い場合や置き場がない場合は、あらかじめセットして運ぶことも許容されます。
5.おしぼりや布巾の準備
どれだけ注意していても、お茶をこぼしてしまう可能性はゼロではありません。
お盆の隅やポケットに、清潔な布巾やおしぼりを必ず用意しておきましょう。
万が一の事態が起きた際、すぐに拭くことができる準備があれば、パニックにならず冷静に対処できます。
この「転ばぬ先の杖」が、心の余裕を生み、落ち着いた振る舞いにつながります。
実践!お茶の出し方のマナー
準備が整ったら、いよいよお客様のいる部屋へ向かいます。
お茶出しにおける、入室から退室までの動きのマナーを7つのステップに分けました。
順を追って解説します。
1.入室
ドアが閉まっている場合は、3回ノックをします。
2回はトイレの空室確認の意味になるため避けましょう。
中から「どうぞ」と返事があったら、「失礼いたします」と声をかけ、お盆を胸の高さに持って入室します。
入室時はドアの方を向き、お尻をお客様に向けないように静かにドアを閉めます。
その後、改めてお客様の方を向き、30度ほどのお辞儀をすると丁寧です。
2.一時置き
お茶を入れたお盆を、一旦安定した場所に置きます。
サイドテーブルがあればそこに置きますが、ない場合は下座(入り口に近い側)のテーブルの端を使わせてもらいます。
この際、「こちらに置かせていただきます」と一言添えると丁寧です。
決してお客様の目の前や、書類の上にいきなりお盆を置かないように注意しましょう。
3.出す順番の確認
基本は「上座のお客様」→「下座のお客様」→「自社の上席」→「自社の担当者」の順です。
上座(かみざ)とは、入り口から最も遠い席を指します。
長いソファーと一人掛けの椅子がある場合は、長いソファーが上座になります。
誰が一番偉い人かわからない場合も、「入り口から遠い順」と覚えておけば間違いありません。
4.提供
一時置きした場所で、茶託の上に湯呑みをセットします。
茶託に木目がある場合は、木目が横になるようにお客様に向けます。
絵柄がある場合は、絵柄がお客様の正面に来るように調整してください。
お茶とお菓子を出す場合は、お菓子を先に出してからお茶を出します。
手際よく、かつ雑にならないように、一呼吸おいて丁寧にセットしましょう。
5.配置
お客様の右側、または右後方から差し出すのが原則です。
右手でお客様の右側に置くことで、お客様の前を腕が横切る「袖越し(そでごし)」を防げます。
スペースが狭く左側からしか出せない場合は、「左から失礼いたします」と一言添えれば問題ありません。
お客様の利き手側(多くは右)に置くことで、スムーズに飲んでもらえます。
6.言葉がけ
無言でお茶を置くのは、冷たい印象を与えてしまいます。
お茶を置くタイミングで、お客様と目を合わせ、「どうぞ」や「失礼いたします」と短く声をかけましょう。
このときの柔らかな笑顔が、緊張した場の空気を和ませます。
「熱いのでお気をつけください」といった気遣いの言葉を添えると、さらにホスピタリティが伝わります。
7.退室
全員に出し終えたら、お盆を左脇に抱えるか、左手で持って右手を添え、下座を通ってドアの前まで移動します。
ドアの前でお客様の方に向き直り、「失礼いたしました」と再度お辞儀をしてから退室します。
ドアを閉める音を立てないように、最後まで静かに動作を終えましょう。
退室するその瞬間までが、お茶出しの業務です。
飲み物やお菓子で変わる!種類別の正しい出し方
出すものが日本茶以外の場合、マナーが少し変わります。
ここでは以下の4つのパターンについて解説します。
- コーヒー・紅茶の場合
- 冷たいお茶(グラス)の場合
- ペットボトルの場合
- お菓子がある場合
それぞれの正しい作法を見ていきましょう。
コーヒー・紅茶の場合
コーヒーカップやティーカップには取っ手があります。
一般的には取っ手を右側に向け、スプーンは柄を右にして手前に置きます。
スプーンの置き場には諸説ありますが、現代のビジネスマナーでは「飲みやすさ」を優先して右側に置くのが主流です。
ミルクや砂糖を添える場合は、スプーンの上か、カップの右側に置くと見た目が美しくなります。
冷たいお茶(グラス)の場合
夏場に冷たいお茶を出す際は、必ずコースター(受け皿)を使用します。
グラスについた結露(水滴)でテーブルや書類を濡らさないためです。
先にコースターを配置し、その上にグラスを置きます。
グラスの底が濡れている場合は、布巾で軽く拭き取ってから出すと、持ち上げたときに水滴が垂れずに済みます。
ペットボトルの場合
コロナ禍以降、衛生面を考慮してペットボトルでお茶を出す企業が増えています。
この場合、基本は「常温」か「冷えたもの」かを選べるようにしておくと親切です。
キャップは未開封のまま出すのがマナーですが、固くて開けにくい場合もあるため、「開けましょうか?」と声をかけるか、キャップカバー(紙製の覆い)をつけて少し緩めておく方法もあります。
コップ(紙コップやグラス)を添えて出すのが丁寧です。
お菓子がある場合
お茶菓子を一緒に出す場合は、位置関係に決まりがあります。
お客様から見て「左側にお菓子」「右側にお茶」となるように配置します。
これは、お茶を飲む際に右手を使うことが多く、お菓子が右にあるとお茶とぶつかってしまうためです。
出す順番は、先にお菓子を左側に置き、次にお茶を右側に置きます。
おしぼりがある場合は、一番右側(お茶のさらに右)に置きましょう。
まとめ
事務員として対応するお茶の出し方のマナーについて、解説しました。
お茶出しは、単なる作業ではなく、相手を思いやる「心」を形にする行為です。
今回紹介したマナーを実践すれば、あなたの評価だけでなく、会社のイメージアップにもつながります。
ぜひ自信を持って、最高のおもてなしをしてください。