- 「メールの書き方がわからない」
- 「失礼な表現になっていないか不安」
事務職員としてメールを作成する際、このように悩んでいませんか?
ビジネスメールには基本となる「型」があり、一度覚えてしまえば誰でも迷わずスムーズに作成できるようになります。
今回は、事務未経験や初心者でもそのまま使える「事務メール書き方」のテンプレートと、気遣いのテクニックを解説します。
正しいマナーを身につけて、相手から信頼される事務職を目指しましょう。
目次
まずは基本!ビジネスメールを構成する6つのパーツと正しい順序
ビジネスメールは、どのような用件であっても基本的に以下の6つのパーツで構成されています。
- 件名:メールの内容を一目で伝えるタイトル
- 宛名:どこの誰に送るかを示す宛先
- 挨拶・名乗り:本題に入る前の礼儀と自己紹介
- 本文:用件を伝えるメイン部分
- 結びの挨拶:メールを締めくくる定型句
- 署名:送信者の連絡先情報
それぞれの正しい書き方を順に解説します。
1.件名
件名は、受信トレイの中で最も目立つ重要な要素です。
相手は大量のメールを受け取っている可能性があるため、「いつ」「誰から」「何の用件か」が一目でわかる件名にする必要があります。
具体的には、「お礼」や「相談」といった抽象的な言葉だけでなく、「【重要】4月1日会議の資料送付について(訪問看護ステーション〇〇)」のように具体性を盛り込みましょう。
【】(隅つき括弧)を使って用件を強調すると、視認性が高まり開封の優先順位を上げてもらえます。
件名だけで内容が伝われば、相手の時間を奪わず親切な印象を与えられます。
2.宛名
宛名は、メールの冒頭に必ず記載する「相手の名前」です。
記述する順番は「会社名・部署名・役職・氏名・敬称」が鉄則であり、省略せずに正式名称で書くのがマナーです。
たとえば病院に送るメールであれば、以下のように記載しましょう。
医療法人〇〇会・〇〇病院・内科部長・〇〇先生
担当者名が不明な場合は、「ご担当者様」や「〇〇部御中」と記載します。
3.挨拶・名乗り
宛名の次は、本題に入る前のワンクッションとして挨拶と名乗りを入れます。
相手との関係性によって定型句が異なるため、以下のパターンを覚えておくと便利です。
- 社外の人へ:「いつもお世話になっております。〇〇(自事業所名)の△△です」
- 社内の人へ:「お疲れ様です。〇〇(自事業所名)の△△です」
- 初めての人へ:「初めてご連絡いたします。〇〇(自事業所)の△△と申します」
いきなり用件から書き始めると唐突で冷たい印象を与えるため、必ず挨拶から始めるのがビジネスメールの基本です。
状況に応じた挨拶を使い分けましょう。
4.本文
本文は、相手に伝えたい用件を記述するメールの中心となる部分です。
ダラダラと経緯から書くのではなく、「結論(目的)」を最初に伝える「結論ファースト」を意識してください。
たとえば、「来週の会議の日程調整のお願いでご連絡しました」と冒頭で宣言します。
そのうえで詳細な内容を記述していきますが、20行も30行も文字が詰まっていると非常に読みづらくなります。
意味のまとまりごとに改行を入れたり、1行空けたりして「余白」を作ることが大切です。
相手がスマートフォンで確認する可能性も考慮し、1文は短くシンプルにまとめましょう。
5.結びの挨拶
本文を書き終えたら、メール全体を引き締める「結びの挨拶」を添えます。
用件を伝えて「以上です」で終わるのではなく、相手への配慮を示す一言を加えるのが大人のマナーです。
一般的な結びの言葉には以下のようなものがあります。
- 基本:「何卒よろしくお願い申し上げます」
- 返信が欲しいとき:「ご多忙の折恐縮ですが、ご返信いただけますと幸いです」
- 気遣い:「季節の変わり目ですので、ご自愛くださいませ」
医療・介護の現場でも、最後に相手の体調を気遣う一文を入れるだけで、事務的なやり取りに温かみが生まれます。
6.署名
署名はメールの最後につける、送信者の名刺代わりの情報です。
会社名、部署名、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、WebサイトURLなどを記載し、罫線で囲って区別しましょう。
万が一メールの内容に不明点があった場合、相手がすぐに電話で問い合わせられるようにするためにも正確な情報が必要です。
多くのメールソフトには「署名設定」の機能があるため、あらかじめテンプレートを登録しておき、全てのメールに自動で挿入されるように設定しておきましょう。
装飾は派手にしすぎず、シンプルで見やすいデザインが好まれます。
事務職で頻出する6つのシーン別テンプレート
事務職の実務で頻繁に発生するシーン別に、そのまま使えるテンプレートを用意しました。
- 日程調整
- お礼
- お詫び・謝罪
- 相談・確認依頼
- 遅刻・欠勤連絡
これらを活用して、メール作成の時間を短縮しましょう。
日程調整
日程調整
件名:【日程調整】お打ち合わせの日程について(株式会社〇〇田中)
本文:
〇〇様
いつもお世話になっております。
訪問看護ステーション〇〇の△△です。
表題の件、お打ち合わせの日程につきまして、以下のとおり候補日を挙げさせていただきました。
ご都合のよろしい日時をご教示いただけますでしょうか。
【候補日時】
1.4月10日(月)14:00~16:00
2.4月11日(火)10:00~12:00
3.4月13日(木)15:00~17:00
場所:貴社オフィスまたはオンライン(Zoom)
所要時間:1時間程度
上記日程でご都合がつかない場合は、お手数ですが候補日をいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
ポイントは、こちらの候補日を3つ程度提示し、相手が選びやすいようにすることです。
お礼(来社・訪問・会食の後)
お礼(来社・訪問・会食の後)
件名:【お礼】ご来社いただきありがとうございました(訪問看護ステーション〇〇・△△)
本文:
〇〇様
いつもお世話になっております。
訪問看護ステーション〇〇の△△です。
本日はご多忙の中、当ステーションまで足をお運びいただき誠にありがとうございました。
〇〇様より貴重なお話を伺うことができ、当ステーションといたしましても大変有意義な時間となりました。
本日ご指摘いただきました点につきましては、事業所内で検討のうえ、改めてご連絡させていただきます。
今後とも変わらぬお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
お礼メールはスピードが命です。
帰社後すぐ、もしくは翌日の午前中までに送りましょう。
お詫び・謝罪
お詫び・謝罪
件名:【お詫び】請求書の記載ミスにつきまして(訪問看護ステーション〇〇・△△)
本文:
〇〇様
いつもお世話になっております。
訪問看護ステーション〇〇の△△です。
先ほどお送りいたしました4月分の請求書につきまして、金額の記載に誤りがございました。
多大なるご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
【誤】5,000円
【正】6,000円
修正した請求書を改めて添付いたしますので、差し替えをお願いできますでしょうか。
今後はこのような不手際がないよう、確認体制を強化してまいります。
略儀ながら、メールにてお詫び申し上げます。
言い訳をせず、ミスを認めて謝罪し、今後の対応策を提示しましょう。
相談・確認依頼(上司への伺い)
相談・確認依頼(上司への伺い)
件名:【ご相談】〇〇の進行スケジュールについて
本文:
〇〇管理者
お疲れ様です。△△でございます。
現在進行中の〇〇について、ご相談がございます。
当初の予定では来週中に資料完成の予定でしたが、追加データの集計に時間を要しており、スケジュールの見直しが必要な状況です。
つきましては、お忙しいところ恐れ入りますが、明日以降で10分ほどお時間をいただけないでしょうか。
【相談可能日時】
・4/2(火)10:00~12:00
・4/2(火)15:00以降
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
「相談があります」だけでなく、「何について」「どれくらいの時間が欲しいか」を明記します。
遅刻・欠勤・早退の連絡(緊急時のマナー)
遅刻・欠勤・早退の連絡(緊急時のマナー)
件名:【勤怠連絡】体調不良による欠勤のご連絡
本文:
〇〇管理者
お疲れ様です。△△でございます。
昨晩より発熱があり、今朝になっても体調が回復しないため、本日はお休みをいただきたくご連絡いたしました。
急なご連絡となり、ご迷惑をおかけし申し訳ございません。
本日の私の担当業務につきましては、急ぎの案件はなく、明日の対応で問題ございません。
もし緊急の際は、メールまたは携帯電話へご連絡いただけますと幸いです。
明日は出社できる見込みですが、状況が変わる場合は改めてご連絡いたします。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
休む理由と、業務への影響範囲、連絡がつくかどうかを伝えることが重要です。
相手に好印象を与える3つの「クッション言葉」活用術
クッション言葉とは、用件の前に添えることで、言葉のきつさを和らげるフレーズのことです。
特に依頼や断りなど、言い出しにくい内容のときに効果を発揮します。
これらを使いこなすことで、事務的なメールに「相手への配慮」が加わります。
依頼するとき
相手に何かをお願いする際、単に「〇〇してください」と書くと命令口調のように冷たく感じられます。
そこで、「お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認をお願いいたします」のようにクッション言葉を挟みましょう。
これにより、「あなたが忙しいことは理解していますが」という配慮の気持ちが伝わり、相手も快く引き受けやすくなります。
「お手数をおかけしますが」も同様に、相手の手を煩わせることへの申し訳なさを表現する便利なフレーズです。
医療事務などの患者・利用者対応がある現場でも、この「恐れ入りますが」は頻繁に使用されます。
断るとき
相手の申し出や誘いを断る場面は、関係が悪くならないか不安になるものです。
そのようなときは、否定の言葉の前に「あいにくですが」や「大変心苦しいのですが」をつけ加えましょう。
「日程の都合がつかず、お断りします」
「あいにくですが当日は別件があり、参加が叶いません」
さらに「ご希望に添えず恐縮ですが」と添えれば、断ることへの残念な気持ちが伝わります。
角を立てずにNoを伝えるテクニックとして、事務職には必須のスキルです。
尋ねるとき
相手のプライベートなことや、答えにくいことを聞く際には、質問の前にクッションを置きます。
「差し支えなければ、ご連絡先を教えていただけますか」
と聞くことで、相手に答えるかどうかの選択権を委ねることができます。
また、相手の名前を聞き直す際などに「失礼ですが、お名前を再度お伺いしてもよろしいでしょうか」と使うことも。
これらは相手の領域に踏み込む際の「ノック」のような役割を果たし、丁寧で慎み深い印象を与えます。
やってしまいがちな事務メールの5つのNGマナー
良かれと思って使っていた言葉が、実はマナー違反だったというケースは少なくありません。
ここでは、事務職初心者が陥りやすい5つのNGマナーを解説します。
- 「了解しました」の使用
- 「ご苦労様です」の使用
- 件名・Re:の不備
- 機種依存文字・装飾
- 添付ファイルの不備
これらを避けるだけで、プロらしいメールに近づきます。
「了解しました」はNG!目上には「承知いたしました」を使う
「了解しました」は、本来「部下が報告した内容を上司が承認する」という意味合いが含まれる言葉です。
そのため、目上の人や取引先に対して「了解しました」と返信するのは失礼にあたります。
などが正しい敬語です。
社内の親しい先輩であれば「了解です」で通じることもありますが、癖になると外部へも使ってしまうリスクがあります。
事務職として働く以上は、誰に対しても「承知いたしました」を使うように統一しておくと間違いがありません。
「ご苦労様です」はNG!社内外問わず「お疲れ様です」で統一する
「ご苦労様」は、目上の人が目下の人を労うときに使う言葉です。
上司や先輩に対して「ご苦労様です」と言うのは、立場をわきまえない発言と捉えられてしまいます。
ビジネスシーンでは、相手の立場にかかわらず「お疲れ様です」を使うのが正解です。
社内ですれ違ったときやメールの書き出しなど、あらゆる場面で「お疲れ様です」は万能に使えます。
ただし、社外の人に対しては「お疲れ様です」ではなく、「お世話になっております」を使うのが基本ですので、混同しないよう注意しましょう。
件名をつけない・「Re:」を放置する
件名を空欄のまま送る「件名なし」メールは、迷惑メールと間違われて削除される危険性が高いためNGです。
また、何度もやり取りを続けていると「Re:」が増えていきますが、用件が変わったにもかかわらず古い件名のまま返信し続けるのもマナー違反です。
話の内容が変わったタイミングで、新しい件名に書き直して新規メールとして作成するか、返信であっても件名を修正するかしましょう。
「Re:」が続きすぎる場合は、適度なところで1つだけ残して削除するとすっきりします。
機種依存文字や過度な装飾を使う
丸つき数字(①など)やローマ数字(Ⅰなど)、半角カタカナは「機種依存文字」と呼ばれ、相手のパソコン環境によっては文字化けして読めないことがあります。
ビジネスメールでは、これらを使わず(1)や(イ)などで代用するのが安全です。
また、強調したいからといって赤文字や太字を多用したり、文字サイズを大きくしたりするのも避けましょう。
ビジネスメールはプレーンテキスト(装飾のない文字)で送るのが基本であり、過度な装飾は幼稚な印象を与えかねません。
内容は文字だけで伝わるように、文章構成を工夫しましょう。
添付ファイルの容量やセキュリティへの配慮がない
資料を添付する際、ファイルサイズが大きすぎると相手のメールサーバーに負荷をかけ、受信できないことがあります。
一般的に、添付ファイルは2MB〜3MB程度までにするのがマナーです。
それ以上になる場合は、ファイルを圧縮するか、ファイル転送サービスやクラウドストレージのURLを共有する方法を検討しましょう。
また、重要な個人情報や機密情報を含むファイルにはパスワードを設定し、誤送信による情報漏洩リスクに備える意識も、事務のプロとして求められます。
まとめ
今回は事務のメールの書き方について解説しました。
ポイントは以下のとおりです。
- メールは件名・宛名・挨拶・本文・結び・署名の6パーツで構成する
- クッション言葉(恐れ入りますが等)を使って、冷たい印象を防ぐ
- 「了解しました」「ご苦労様です」などのNGワードを避ける
メールは文字だけのコミュニケーションだからこそ、書き方一つで「仕事ができる人」「気遣いができる人」という印象を与えられます。
最初はテンプレートを見ながらで構いません。
正しい型を身につけ、相手への「思いやり」を少しだけプラスできれば、もうメール作成に悩むことのないプロの事務職と言えるでしょう。