訪問看護指示料の算定ルール|指示書の有効期間と毎月算定の関係

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「訪問看護指示料って毎月かかるんですか?」利用者さんやご家族からこう聞かれて、答えに詰まったことはないでしょうか。指示書の有効期間は6か月なのに、医療機関の領収書には毎月のように指示料が載っている。そんなケースもあり、事務担当者でも仕組みがあいまいになりやすい費用です。

結論から言うと、訪問看護指示料は「指示書を交付した月」に、患者1人につき月1回を限度として医療機関が算定するものです。有効期間中に毎月自動で発生する費用ではありません。この記事では、算定ルールの根拠と、有効期間との関係、訪問看護ステーション側のレセプト(訪問看護療養費明細書)での扱いまで、事務担当者が明日から使える形で整理します。

この記事でわかること
  • 訪問看護指示料を「誰が」「いつ」「何回」算定するのか
  • 指示書の有効期間(最長6か月)と算定月の関係
  • 特別訪問看護指示加算・手順書加算など加算ごとの算定回数
  • ステーション側レセプトの「指示期間」欄の書き方と注意点
  • 利用者さんに「毎月かかるの?」と聞かれたときの説明のしかた
目次

訪問看護指示料の算定ルールの基本|誰が・いつ・何回

まず押さえておきたいのは、訪問看護指示料を算定するのは訪問看護ステーションではなく、指示書を交付した主治医の医療機関だという点です。訪問看護指示料は医科診療報酬点数表の区分番号C007に定められた点数で、医療機関が自院のレセプトで請求します。料金そのもの(300点・自己負担額)は別記事「訪問看護指示書の料金はいくら?」で詳しく扱っているので、ここでは「算定」のルールに絞って見ていきます。

算定できるのは「指示書を交付したとき」

点数表の告示では、主治医が診療に基づき訪問看護の必要を認め、患者の同意を得て、患者が選んだ訪問看護ステーション等に訪問看護指示書を交付した場合に、患者1人につき月1回に限り算定するとされています。つまり算定のきっかけは「交付」という行為です。指示書の有効期間が続いているあいだ、交付していない月に指示料が発生するわけではありません。

「月1回」は複数のステーションに出しても変わらない

留意事項通知では、同じ月に1人の患者について複数の訪問看護ステーション等へ指示書を交付した場合でも、指示料は1月に1回が限度とされています。たとえば利用者さんが2か所のステーションを併用していて、同じ月にそれぞれへ指示書が出ても、医療機関が算定できる指示料は1回分です。

介護保険の訪問看護でも指示料は医療保険で算定される

告示の条文では、交付先の「指定訪問看護事業者」に、健康保険法の指定訪問看護事業者だけでなく、介護保険法の指定居宅サービス事業者・指定介護予防サービス事業者(訪問看護事業を行う者)も含まれています。利用者さんが介護保険で訪問看護を受けていても、指示料は医療機関が医科の点数として算定するという整理です。介護保険の利用者さんから「介護保険なのに病院から指示料を請求された」と聞かれた場合は、この点を説明すると納得してもらいやすくなります。

新人事務
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指示書は6か月有効なのに、病院の領収書に毎月「訪問看護指示料」が載っている利用者さんがいました。これって間違いですか?

ベテラン事務
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すぐに誤りとは言えません。指示料は「交付した月」に算定するものなので、主治医が毎月1か月分の指示書を出しているなら、毎月算定されるのはルールどおりです。まずは指示書の交付日と有効期間を確認してみましょう。

指示書の有効期間と算定月の関係|「毎月算定」になるケース・ならないケース

検索でも多い「訪問看護指示料は毎月算定するのか」という疑問は、指示書の有効期間と組み合わせて考えると整理しやすくなります。

有効期間は6か月以内。1か月の指示なら期間の記載は不要

留意事項通知では、訪問看護指示書には有効期間(6月以内に限る)を記載して交付することとされています。なお、1か月の指示を行う場合は、指示書に有効期間を記載しなくてもよいとされています。有効期間の決め方や更新のタイミングは「訪問看護指示書の有効期間は最大何ヶ月?」で詳しく解説しています。

具体例で比べる:6か月指示と1か月指示

同じ半年間でも、主治医がどのような期間で指示書を出すかによって、指示料が算定される回数は変わります。

指示書の出し方指示料が算定される月半年間の算定回数(目安)
4月1日交付・有効期間6か月(4/1〜9/30)交付した4月のみ1回
毎月1日に1か月分を交付交付した毎月6回
4月に6か月指示を交付し、6月に指示内容が変わり再交付4月と6月(いずれも交付月)2回

3つ目のように、病状の変化で指示内容を見直して有効期間中に新しい指示書が交付されれば、その月にも算定されます。留意事項通知でも、主治医は指示書の交付後であっても患者の病状等に応じて期間を変更できるとされています。

退院時の扱い

留意事項通知では、訪問看護指示料は退院時に1回算定できるほか、在宅で療養している患者について1月に1回を限度として算定できるとされています。退院前後は指示書のやり取りが重なりやすい時期なので、ステーション側では「どの医療機関が、いつ交付した指示書か」を必ず控えておきましょう。

注意

留意事項通知では、主治医の医療機関と「特別の関係」にある医療機関が、その月に在宅患者訪問看護・指導料などを算定している場合、主治医の医療機関は訪問看護指示料を算定できないとされています。こうした医療機関側の算定可否は医療機関が判断する事項です。ステーションの事務が利用者さんに断定的に説明するのは避け、「医療機関の窓口でご確認ください」と案内するのが安全です。

新人事務
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利用者さんの負担を考えると、6か月の指示書をお願いしたほうがいいんでしょうか?

ベテラン事務
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有効期間を決めるのは主治医で、病状に合わせて判断するものです。事務から期間を指定するのは筋違いなので、こちらは「有効期間が切れる前に更新を依頼する」管理に集中しましょう。

加算・精神科指示料の算定回数を一覧で整理

訪問看護指示料には、状況に応じた加算があります。いずれも点数表上は訪問看護指示料の「注」に定められた加算で、算定回数の単位がそれぞれ異なります。

項目点数算定回数の上限算定のきっかけ
訪問看護指示料300点患者1人につき月1回訪問看護指示書の交付
特別訪問看護指示加算100点月1回(厚生労働大臣が定める者は月2回)特別訪問看護指示書の交付
手順書加算150点患者1人につき6月に1回特定行為の手順書を研修修了看護師に交付
衛生材料等提供加算80点患者1人につき月1回必要な衛生材料・保険医療材料の提供
精神科訪問看護指示料300点(別区分)精神科訪問看護指示書の交付

特別訪問看護指示加算は「月1回、一部の利用者は月2回」

急性増悪、終末期、退院直後などで週4回以上の頻回の訪問看護が一時的に必要と主治医が判断し、特別訪問看護指示書を交付した場合に算定されます。頻回の訪問看護は、その特別指示に係る診療の日から14日以内に限って実施するものとされています。月2回まで認められる「厚生労働大臣が定める者」は、気管カニューレを使用している状態にある者と、真皮を越える褥瘡の状態にある者(NPUAP分類Ⅲ度・Ⅳ度、またはDESIGN-R2020分類のD3・D4・D5)です。

手順書加算は「6月に1回」

手順書加算は、主治医が特定行為の管理が必要と認め、指定研修を修了した看護師に手順書を交付した場合に、6月に1回を限度に算定されます。訪問看護で対象となる特定行為は、気管カニューレの交換、胃ろうカテーテル等の交換、褥瘡等の壊死組織の除去、持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整など、留意事項通知で7項目が挙げられています。

衛生材料等提供加算は、在宅療養指導管理料などとは別に算定できない

衛生材料等提供加算は、ステーションから提出された訪問看護計画書・訪問看護報告書をもとに、主治医が必要な量を判断して衛生材料等を支給した場合に算定されます。ただし在宅時医学総合管理料や在宅療養指導管理料などを算定している場合は、この加算は管理料に含まれ、別に算定できません。ステーション側にとっては、計画書・報告書の提出が医療機関の算定根拠の一つになっているという点が実務上のポイントです。

精神科訪問看護指示料とは同時に算定しない

点数表では、訪問看護指示料を算定した場合は精神科訪問看護指示料(区分番号I012-2)を算定しないとされ、逆も同様です。精神科の主治医から指示を受けている利用者さんでは、どちらの指示書に基づく訪問看護かを、ステーション側でも取り違えないようにしましょう。

ステーション側のレセプトでの扱い|「指示期間」欄と特別指示の記載

指示料そのものは医療機関の請求ですが、ステーションが医療保険で請求する訪問看護療養費明細書にも、指示書の情報を正しく書く必要があります。厚生労働省の「訪問看護療養費請求書等の記載要領」から、指示書に関わる部分を整理します。

「主治医」欄:指示書を交付した医師と医療機関を書く

「主治医」欄には、訪問看護指示書(または精神科訪問看護指示書)を交付した医師の所属する医療機関の名称と、医師の氏名を記載します。「直近報告年月日」には、主治医へ訪問看護計画書・報告書で報告した最終の年月日を記載します。月の途中で主治医が変わった場合は、2人目以降を摘要欄に記載するルールです。

「指示期間」:最新の指示書の有効期間を書く

記載要領では、主治医が交付した最新の指示書の指示有効期間を示す年月日を記載し、請求月にかからない指示期間は記載しないこととされています。また、指示年月日の記載がない場合は、指示書の有効期間を交付後1か月とみなすとされています。期間の書かれていない指示書を6か月有効と思い込んで訪問を続けると、2か月目以降が指示期間外になるおそれがあるので注意が必要です。

特別指示期間と日付欄の「△」

特別訪問看護指示書の交付を受けた場合は、「特別指示期間」として特別指示の有効期間を記載します。前月に交付された特別指示が請求月にまたがって続いている場合は、前月の特別指示の年月日もあわせて記載します。さらに、特別指示に基づいて訪問した日には、日付欄に「△」を記載します。

POINT

ステーション側で指示料を請求することはありませんが、「指示期間」「特別指示期間」の記載ミスは返戻の原因になります。指示書が届いたら、交付日・有効期間・特別指示の有無をすぐに台帳へ転記しておくと、月末のレセプト作成で迷いません。記載要領全体の注意点は「訪問看護レセプトの記載要領と請求ミス防止」もあわせて確認してください。

新人事務
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指示書に有効期間が書かれていないときは、どうすればいいですか?

ベテラン事務
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記載要領では「交付後1か月」とみなす扱いです。長期の指示のつもりで書き漏れている可能性もあるので、勝手に期間を補わず、主治医の医療機関に確認して書き直してもらうのが確実ですよ。

事務担当者が毎月やること|指示書と算定の確認手順

ここまでのルールを、ステーションの事務担当者の実務に落とし込むと次の流れになります。

  1. 指示書を受け取ったら台帳に登録する交付日、有効期間(開始日・終了日)、主治医名・医療機関名、特別指示の有無を一覧に記録します。期間の記載がなければ「交付後1か月」として扱い、医療機関に確認します。
  2. 月初に「今月で切れる指示書」を抽出する台帳から当月・翌月に有効期間が満了する利用者さんを洗い出し、看護師と共有して更新依頼のタイミングを決めます。依頼の手順は「訪問看護指示書の依頼方法」を参考にしてください。
  3. 特別指示は14日間の範囲を確認する特別訪問看護指示書が出たら、診療日から14日の範囲と、月1回か月2回の対象者かを確認します。月2回の対象は気管カニューレ使用・真皮を越える褥瘡の利用者さんに限られます。
  4. レセプト作成時に指示期間と訪問日を突き合わせる訪問日がすべて指示期間内に収まっているか、特別指示の訪問日に「△」が付いているかを確認します。期間外の訪問が見つかったら、請求前に管理者へ報告します。
  5. 計画書・報告書を期日どおりに主治医へ送る衛生材料等提供加算など、医療機関側の算定根拠にもなります。「直近報告年月日」の記載にも使うので、送付日を記録しておきます。
あわせて読んでおきたい関連記事

指示書の期限切れは、返戻や請求できない訪問につながります。有効期間と更新のタイミングをあらためて確認しておきましょう。

指示書の有効期間と更新時期を読む

利用者さんに「指示料は毎月かかるの?」と聞かれたときの答え方

ステーションの事務が利用者さんから指示料について質問を受けることは少なくありません。説明の際は次の3点を押さえておくと、誤解を招きにくくなります。

  • 指示料は病院・診療所に支払う費用で、ステーションの利用料とは別であること
  • 指示書が新しく出た月に、月1回までかかる費用であること
  • 何か月ごとに指示書を出すかは主治医が病状に応じて決めること

たとえば「指示料は、先生が訪問看護の指示書を書いてくださった月に、病院のほうでかかる費用です。何か月分の指示書になるかは先生がご判断されるので、詳しい金額は病院の窓口で確認していただけますか」と伝えると、ステーションが請求しているわけではないことも含めて伝わります。

新人事務
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「毎月かかってるのはおかしい」と強く言われたら、どう対応すればいいでしょう?

ベテラン事務
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ステーションで医療機関の算定を正しいとも誤りとも言い切れません。指示書の交付日と期間をこちらでも確認したうえで、「病院の会計窓口でご確認いただくのが確実です」と案内し、必要なら看護師や管理者から主治医側に共有してもらいましょう。

次に読むべき関連記事

指示料の点数・自己負担額・支払い先については、料金に特化した記事で詳しく解説しています。

訪問看護指示書の料金を読む

まとめ|指示料は「交付した月に月1回」。ステーションは指示期間の管理に集中する

訪問看護指示料は、主治医の医療機関が指示書を交付した月に算定する点数で、有効期間中に毎月自動で発生する費用ではありません。ステーションの事務担当者が担うのは、指示料の請求ではなく、指示書の有効期間・特別指示の管理と、レセプトへの正確な記載です。

この記事のまとめ
  • 訪問看護指示料(300点)は指示書を交付した医療機関が算定し、ステーションは請求しない
  • 算定は指示書を交付した月に、患者1人につき月1回まで。複数ステーションに交付しても1回
  • 有効期間は6か月以内。毎月1か月分の指示書が出ていれば毎月算定されるのはルールどおり
  • 特別訪問看護指示加算は月1回、気管カニューレ使用・真皮を越える褥瘡の利用者は月2回
  • ステーションのレセプトには最新の指示期間を記載し、期間の記載がない指示書は交付後1か月とみなす

まずは自事業所の指示書台帳に「交付日」と「有効期間」が漏れなく入っているかを確認するところから始めてみましょう。

よくある質問

訪問看護指示料は毎月算定されるものですか?

毎月自動で算定されるものではありません。訪問看護指示料は、主治医が訪問看護指示書を交付した場合に、患者1人につき月1回を限度として医療機関が算定します。有効期間6か月の指示書であれば交付した月のみ、毎月1か月分の指示書が交付されていれば毎月算定されます。

訪問看護ステーションが訪問看護指示料を請求することはありますか?

ありません。訪問看護指示料は医科診療報酬点数表に定められた点数で、指示書を交付した医療機関が請求します。ステーションは訪問看護療養費明細書の「主治医」欄や「指示期間」に、指示書の情報を記載します。

介護保険で訪問看護を利用している場合も訪問看護指示料はかかりますか?

かかります。点数表の告示では、指示書の交付先に介護保険法の指定居宅サービス事業者等(訪問看護事業を行う者)も含まれており、介護保険の利用者さんであっても、指示料は医療機関が医科の点数として算定します。

指示書に有効期間が書かれていない場合はどう扱いますか?

訪問看護療養費請求書等の記載要領では、指示年月日の記載がない場合は、指示書の有効期間を交付後1か月とみなすとされています。長期の指示の書き漏れの可能性もあるため、主治医の医療機関に確認するのが確実です。

特別訪問看護指示加算は月に何回まで算定できますか?

原則として月1回です。気管カニューレを使用している状態にある者、真皮を越える褥瘡の状態にある者については月2回まで算定できます。特別指示による頻回の訪問看護は、特別指示に係る診療の日から14日以内に限られます。

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この記事の監修

上妻 裕弥のアバター 上妻 裕弥 看護師/MBA取得

株式会社ビジケア代表取締役/看護師・MBA取得。これまで200社以上の訪問看護事業所へ経営コンサルティング・BPOサービスを実施。経営者・管理者のサロン等も含めると500社を超える。単月黒字化から複数拠点展開、事業承継まで支援し、看護師の視点で「続く経営」をつくる。別法人にて自身でも全国に訪問看護ステーション展開している。

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